PJ: 林田 力
マンション仲介広告に注意(1)錦糸町営業所の虚偽広告
2010年08月03日 06:49 JST
公正取引委員会通知書(撮影者:林田力、撮影日:2010年7月31日) 
【PJニュース 2010年8月3日】多くの消費者にとって不動産は一生に一度あるかないかの買い物である。しかし、その買い物の重要な判断材料となるマンション仲介広告は、いい加減な内容であることも多い。本記事では同じマンションで繰り返し虚偽内容の広告が確認された信じ難い事例を紹介する。
問題の広告は東急不動産が分譲し、東京都江東区東陽にあるマンション・アルスの一室の売却を仲介するものである。最初の虚偽広告は大手不動産販売業者の東急リバブル錦糸町営業所が2005年に作成・配布した。広告の虚偽内容は以下の通りである。
第一に1LDK+DENの間取りを広告では2LDKと表示し、広く見せようとした。
第二に用途地域は第一種住宅地域と商業地域からなるにも関わらず、広告では第一種住宅地域とのみ表示した。
第三に駐車場料金は月額30000〜32000円であるにもかかわらず、広告では月額僅か600円とする。これは単なる誤記とは考えられない。600円とは桁が異なる上、0を1ー2個落としてしまった訳でもない。しかも600円では駐車場料金の世間相場からも離れている。現在は駐車場に空きがないとはいえ、格安で駐車場を借りられる、お買い得物件との誤解を消費者に与えかねない広告である。
また、東急リバブルのウェブサイト上のアルス広告ページでは間取りがコロコロと変わっていた。
7月31日時点では間取り図に洋室8.0畳、洋室4.5畳、LD 11.4畳と実物とは異なる虚偽の表示をしていた。
8月12日時点では洋室8畳、DEN 4畳、居間・食堂11.2畳で畳数は正しい記載に改められた。しかし、間取りは相変わらず2LDKと虚偽表示を続けていた。
8月19日時点では洋室8畳、納戸4畳、LDK 15畳とLDKが実物よりも大幅に広く見せている。但し、間取りは1SLDKに改められた。
不動産広告では、実際のものよりも優良又は有利であると誤認されるおそれのある表示をすることは不当表示として禁止されている。現在または将来の環境等について、実際のものより著しく優良、有利であると一般消費者に誤認させるような表示は不当表示になる。
東急リバブルの虚偽広告に対しては、景品表示法の観点から公正取引委員会も動いた。東急リバブルが加盟する社団法人首都圏不動産公正取引協議会において改善措置を講じさせた(独占禁止法45条3項の規定に基づく公正取引委員会通知書、公取通第497号)。
この虚偽広告には単なるミスで済ませられない事情がある。東急リバブルは上記マンションの新築分譲時の販売代理を務めていた。従って通常の仲介業者以上に物件を熟知している。新築分譲時の販売資料には間取りも用途地域も駐車場料金も正しく記載されていた。それにもかかわらず売却仲介時には虚偽の広告を作成・配布したところに東急リバブルの悪質さが際立っている。
広告が近隣住戸に配布された当時、記者はアルスの別の住戸(301号室)の購入者として売買代金返還を求めて東急不動産と裁判中であった。東急不動産が裁判で提出した図面(乙第1号証)には虚偽があり、原告(記者)は反論のためにアルスの間取りを調べていた。そのために東急リバブル錦糸町営業所の仲介広告の虚偽も発見できた。
裁判では東急リバブルが不利益事実(隣地がアルス竣工後すぐに建て替えられること及び作業所で騒音が発生すること)を隠してマンションをだまし売りしたことが争点であった。記者は東急リバブル錦糸町営業所の虚偽広告(チラシ、ファックス広告、ウェブページ)も証拠(甲第18号証)として提出した。それによって東急リバブルが消費者に正確な情報を伝えようとしない不動産業者であることを立証した。この証拠に対して、裁判官は第三回弁論準備手続(2005年9月6日)で東急不動産側に反論するように示唆したが、東急不動産側から反論されることはなかった(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社、2009年、44頁)。【つづく】
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林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』
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