PJ: 林田 力
イスラエル批判の高まりとガザ封鎖緩和
2010年06月21日 14:36 JST
【PJニュース 2010年6月21日】イスラエルは2010年6月17日にパレスチナ自治区ガザの境界封鎖の緩和を決定した。ガザ支援船襲撃に対する国際的な批判が高まったことが背景である。しかし、全面解除はせず、封鎖自体は続けるとしているため、本質的な問題解決には程遠い。
イスラエルはハマスがガザを制圧した2007年以降、武器搬入の防止を名目にして、境界封鎖を強化した。あらゆる物資の搬入は制限され、ガザでは建設資材や食料品が慢性的に不足している。2006年に結成された、パレスチナ支援のための国際人権組織Free Gaza Movementは境界封鎖に抗議し、船団を派遣してガザに支援物資を届けようとした。
この自由船団と呼ばれる6隻の船団は5月31日にガザ西方の公海でイスラエル軍の襲撃を受け、拿捕された。自由船団にはトルコや欧州の人権活動家ら約700人が乗船していたが、イスラエル軍により少なくとも9人が射殺され、多数の負傷者を出した。イスラエルは自衛の手段を講じたと主張する。これに対し、活動家側は「軍が一方的に襲ってきた」とする。イスラエル部隊がヘリコプターから甲板に降下し、突然、無防備な民間人に発砲したと批判する。
イスラエルが巧妙なプロパガンダで取り繕ったとしても、軍隊が人権活動家の船舶を攻撃して多数の死傷者を出した事実は否定できない。民間船に対する公海上での海賊行為と変わらない。本当の意味での「ならず者国家」である。国際社会による糾弾も当然である。ガザを目指した新たな支援船やイスラエル・ボイコット運動の盛り上がりなど、世界的連帯はより高まりを見せている。
Free Gaza Movementは後続の支援船レイチェル・コリー号の拿捕後もイスラエル政府がガザへの「集団的懲罰」である封鎖を止めるまでは、幾らでも船団を送り続けると発表した。ヨーロッパのユダヤ人団体やイラン赤新月社が支援船出航も発表している。
また、Viva Palestinaの創始者であるジョージ・ギャロウェイ前英国下院議員はラマダン明けの9月に新たに海と陸からの支援団派遣を発表した。Viva Palestinaは救援物資を積載した100台ものトレーラーからなる輸送団を派遣し、エジプト政府の妨害を受けながらも2009年3月にガザ入国を果たし、ガザの人々の大歓迎を受けた。
今回の封鎖緩和では検問所を通じた食料や日用品などの搬入許可品目を大幅に拡大する。しかし、イスラエルによる攻撃からの復興に必要なセメントなどが含まれるか不明である。また、経済に深刻な打撃を与えているガザからの輸出禁止や禁漁区の解除には触れていない。
結局のところ、「巨大な監獄」と形容されるようにガザは依然として制限下に置かれている。イスラエルはガザに進軍していないだけで、ガザの境界から支配しているに過ぎない。このイスラエルの横暴はアメリカを中心とする大国の無関心に支えられている。それ故に世界市民の抗議が大きな意味を有する。【了】
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