PJ: 林田 力
不動産の両手取引禁止を改めて公約に(上)
2010年06月13日 07:52 JST
【PJニュース 2010年6月13日】変化を求める国民の期待を背景に歴史的な政権交代を果たした民主党政権であったが、普天間問題が象徴するように反故・放棄・放置・ウヤムヤにされた公約も少なくない。その一つに不動産仲介業者に対する両手取引の禁止がある。
民主党はキャッチフレーズ「コンクリートから人へ」に恥じず、不動産政策でも第45回衆議院議員選挙で画期的な公約を掲げていた。「民主党政策集INDEX2009」では「一つの業者が売り手と買い手の両方から手数料を取る両手取引を原則禁止とします」と記載する。これは不動産取引の健全化に有効であり、改めて公約として実現を目指すべきである。
不動産取引では売主と買主の間に仲介業者が入って取引を成立させる形態が普及している。売主や買主が独力で取引相手を探し出すことが困難な場合に、仲介業者の存在価値がある。仲介業者が物件の買い手または売り手を探し出してくれるためである。他にも仲介業者は契約条件の交渉や様々な手続きを行う。この報酬として売主・買主は不動産仲介会社に仲介手数料を支払う。逆に言えば仲介業者にとっては仲介手数料が売り上げになる。
不動産の売主は仲介業者に売却を依頼し、買主は仲介業者に条件にあった物件探しを依頼する。両者の条件がマッチすれば取引が成立する。この場合、買主・売主は各々自分の仲介業者に仲介手数料を支払う。
売却を依頼された仲介業者が自社の広告等で買い手を探し出し、取引を成立させた場合、この仲介業者は売主・買主の双方から仲介手数料を受け取ることになる。1回の取引で2回分の手数料を得られることになり、仲介業者にとってオイシイ取引となる。これは両方の手で手数料を受け取ることから、両手取引(両手取り)と呼ばれる。
問題は両手取引しか考えない業者が存在することである。この種の仲介業者は売主から物件の売却を依頼されても、他社から引き合いには「売れた」と嘘をついてでも断り、自社に客が付くのを待つ。記者(=林田)も両手取引しか考えない不動産業者の被害を受けた経験がある。
記者は2003年に東急不動産(販売代理:東急リバブル)から新築マンションを購入したが、隣地建て替えなどの不利益事実を隠していたことが購入後に判明したため、消費者契約法第4条第2項(不利益事実不告知)に基づき、売買契約を取り消した。
それまで住んでいたマンションの売買契約を取消したため(要するに返品することになったため)、新たな住居を探す必要が生じた。選択肢の一つとして中古不動産の購入を検討した。本記事は、その際の経験をまとめたものである。
インターネットのポータルサイトから条件(立地、価格、面積、間取り、築年数等)にあった物件を探し出し、その物件情報をもって不動産業者(A社)に内覧の手配を依頼した。しかし、A社が物件の売主側の仲介業者(B社)に確認したところ、物件は既に成約済みと回答を受けた。
その物件広告は掲載されたばかりで、すぐに売れてしまったのが信じられなかった。当該物件は良さそうで簡単には諦めきれなかった。そこでダメモトで直接B社に電話で問い合わせた。驚いたことに売れておらず、案内も可能との回答であった。A社経由で問い合わせた場合とB社に直接問い合わせ場合の矛盾は不動産仲介の両手取りを考えると説明がつく。
即ち、A社経由の問い合わせの場合、A社が買主の仲介業者となり、成約してもB社が得られるのは売主からの仲介手数料のみである。一方、購入検討者が直接問い合わせした場合、成約すればB社は買主・売主双方から仲介手数料を受け取ることができる。両手取りを目的とする場合、他社から引き合いには「売れた」と嘘をついてでも断り、自社に客が付くのを待つことが合理的となる。【つづく】
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林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』
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