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PJ: 林田 力

トヨタ自動車への高額制裁金は米国社会の健全性の証
2010年04月07日 05:58 JST

【PJニュース 2010年4月7日】トヨタ自動車の大規模リコール問題に対し、米国のラフード運輸長官は2010年4月5日に「トヨタが意図的に欠陥を隠した」として、1637万5000ドル(約15億4000万円)の制裁金を科す方針を発表した。これは米国政府の自動車メーカーへの制裁金としては過去最高額になる。

ラフード長官はトヨタが2009年9月時点でアクセルペダルが戻りにくくなる不具合を把握していた内部資料があると指摘した。ところが、トヨタのリコール発表は2010年1月であった。トヨタは車の欠陥を知りながら少なくとも4カ月間にわたってNHTSA(高速道路交通安全局)への報告を怠り、安全のための適切な対応をしなかったことになる。これは不具合の認識から5営業日以内の報告義務を定める法令に違反すると認定した。

今回の制裁金はアクセルペダルが戻りにくくなる不具合に関してのものである。他の意図しない急加速問題やプリウスのブレーキ不具合でも法令違反が認定されれば、制裁金は増える可能性がある。

最高額の制裁金とは裏腹にトヨタ・バッシングには揺り戻しの動きがある。米国ABCテレビはニュース番組で電子制御スロットルの欠陥による急加速の検証映像を放送したが、そこに編集ミスがあったことが明らかになった。また、トヨタ車の急加速事故の一部について、ブレーキとアクセルの踏み間違えが原因である可能性も指摘されている。
このようなタイミングであっても、トヨタに過去最高額の制裁金を発表するところに米国社会の健全さがある。トヨタが意図的に欠陥を隠したという「リコール隠し」が制裁金の理由となっている点がポイントである。

欠陥を報告しないことは、欠陥が些細なものか重大なものかということは別次元の重大な問題である。たとえ些細な欠陥であっても、それを理由に欠陥隠しに寛大な姿勢を見せれば、重大な欠陥にも報告しなくなる。それ故にリコール隠しを理由とする高額の制裁金は正当化される。

これは日本にも当てはまる。日本では大規模リコールの中でもプリウスのブレーキ不具合が関心を集めた。当初、トヨタは「お客様の感覚の問題」として、不具合の存在を否定した。その一方で新規生産分だけはプログラムを改修した。しかし、トヨタ批判が高まり、最後にはリコールを余儀なくされた。この経緯は上述のアクセルペダルのリコールと重なる。

「ブレーキを強く踏めば、やがて車は止まる」との説明は、それが事実であったとしても消費者を欺くものである。ブレーキは効くか効かないかという二者択一的なものではない。ドライバーはブレーキの踏む強さで停車速度を調節する。プリウスに限って、強く踏まなければブレーキが効かないという制限事項があるならば最初から明らかにしなければならない。問題が起きた後で「強く踏めば止まるので不具合ではありません」は欠陥隠しの言い訳に過ぎない。

消費者意識が未熟で社蓄根性が強い日本では、消費者の被害よりも、不祥事企業の営業縮小で影響を受ける従業員への同情や共感が優先しがちである。また、安易に過去を水に流してしまう日本人は、それまで不誠実な対応を繰り返されても、最後に一定の対応がなされたならば最後の行動だけで評価するという近視眼的な傾向がある。しかし、火事に際して目の前の火を消すことしか考えず、鎮火すれば「良かった」で終わらせてしまうような日本的発想では反省も教訓の獲得もない。日本社会が米国に学ぶべき点は多い。【了】

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