PJ: 多岐 太宿
JFL後期第5節、まだまだ足りないものがある。=松本山雅FCの闘争
2010年08月07日 06:55 JST
本年最後のアルウィンナイターで4得点の大爆発。エース柿本倫明。(撮影:多岐太宿、7月31日) 
【PJニュース 2010年8月7日】前半終わって2-0でリード。とにかく結果の欲しい現状だから、まずはよしとするところだが、その内容は乏しく、褒められたものではなかった。それでも後半にも得点を積み重ね、4点差をつけての快勝。9勝9敗4引き分け(勝ち点31)と成績を五分に戻し、得失点差も開幕以来初のプラスに転じさせた。素晴らしい結果を残したゲームだからこそ、あえて『勝って兜の緒を締めよ』。冷静な視点で90分間を振り返ってみたい。
試合開始早々の7分にエースストライカーの福士が負傷交代、14分にはゴールキーパーと一対一の場面を作った大西康平をPA内で倒したDF西山が一発レッドで退場。試合開始僅か14分でジェフリザーブズは大幅な軌道修正を余儀なくされた。一発退場については、倒された大西本人も「予想していなかった」と語る微妙な判定で、試合後に「マッチコミッショナーに、(あのレッドが)一発に相応しいのかどうか確認した」とジェフリザーブズの越後和男監督は苦い表情を浮かべた。
PKを確実に決め、早い時間帯に先制点を得た松本は、前半更に1点追加。10人のジェフリザーブズを相手に優位に試合を進める、かに思えた。しかし、未だ明確な攻撃の形の見えない松本は一人少ない相手に対し攻め手を失う。左サイドで玉林睦実がフリーで待っていてもスペースのない右サイドからの攻撃に固執したり、縦方向へのパスがジェフリザーブズDFにインターセプトされたりとちぐはぐな状況が続く。
そのまま2-0で前半が終了。「(ハーフタイム中に)栃木の話が出た。次の1点が大きいと話した」(大西)と、2-0で折り返しながら後半に3点を献上し、まさかの逆転負けを喫した栃木ウーヴァ戦と同じ状況。同じ轍を踏むわけにはいかない。後半開始すぐに柿本が頭で押し込む。「皆の思いのこもったボールを決めることが出来た」と満足気に振り返ったキャプテンは、「身体の切れも戻りつつある」と自身が認めるようにこの日は出色の動きで、前半に比べると流石に集中力の途切れたジェフリザーブズの選手達を寄せ付けない強さと上手さを見せた。得点力不足に泣かされてきたシーズンだけに、チャンスを決めるべき人が決めればこのチームは勝てる。
大勝にも課題はある。前半の早い時間で一人少なくなったジェフリザーブズは、4-4-1のシステムを敷いていたが、後半は3バックへと修正。松本もこれに対抗するべく4-1-2-3に変更。しかしこれが消化不良を生んでしまう。「記憶にない」と選手が語るように、練習でも経験のない3トップで歯車が微妙に狂い始める。「バランスが崩れて、相手に勢いをつけてしまった」と阿部琢久哉が唇を噛むように、後半は一人少ないはずのジェフリザーブズにシュート数で並ばれる結果となった。唯一の失点シーンも、「あの1点はいらなかった。気の緩みで(試合が)どうなるかわからない」(柿本)、「あの1点は余計だった」(大西)と誰もが口を揃えるように、集中力の欠如からの軽いプレーで生まれてしまったもの。今後は勝ち点同様に得失点差も上位進出への鍵となるだけに、選手全員の意識統一、更なる奮起が望まれる。
この日はエースの大活躍で思わぬ大差がついた。しかし試合内容そのものは決して褒められるものでなく、これから上位との紙一重の勝負をタフに戦い抜いて、勝ち点を積み重ねていくためにはまだまだ足りないものがあるという事実を再認識させられたゲームだった。
ちなみに試合終了後の記者会見上、吉澤英生監督は「夏休み中で練習グラウンドの確保が難しい。何とか融通をきかせてほしいとは話しているが、土や芝の状態の悪いグラウンドの場合が多く、今のままでは厳しい。困っているのは事実で、協力をお願いしたい」と話した。プロチームの中にも練習場の確保に頭を悩ませているチームは多いが、松本でも『上』を目指すにあたり、取り払うべき壁は少なくないようだ。
■試合結果
2010年 JFL後期 第5節(7月31日)
松本山雅FC 5-1 ジェフリザーブズ
得点: 16分 柿本(松本)、28分 柿本(松本)、52分 柿本(松本)、67分 今井(松本)、78分 福田(ジェフ)、86分 柿本(松本)
■筆者が選ぶ、MOM(マン・オブ・ザ・マッチ)
柿本倫明(松本):点を取れるストライカーのいるチームは強い。『フォーケル(4得点)』の爆発で文句なしの MOM。サイドから精力的にアップダウンを繰り返した阿部琢久哉と短い時間で結果を出した今井昌太も高評価。
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