PJ: 多岐 太宿
JFL第15節、問題の根は深い。=松本山雅FCの闘争
2010年06月15日 12:14 JST
古巣のブラウブリッツ秋田(TDKサッカー部)を相手に奮闘したが敗北、「思い出のあるチーム。正直悔しい」と語った阿部琢久哉。(撮影:多岐太宿、6月13日) 
【PJニュース 2010年6月15日】スタッツを見ると、シュート数は両チームとも同じ9本。その数字同様、試合内容もほぼ互角、むしろチャンスを多く作り出していたのは松本の方だった。しかし、チャンスを生かしたのは秋田だった。この試合のヒーローとなったブラウブリッツ秋田のエースストライカー、松田正俊のシュート数は実に6本。チーム全体のシュート数の実に3分の2を占める。
「シンプルにディフェンスラインの裏を狙って行こう」という吉澤英生監督の指示は、『半分は』守られたと言っていい。柿本倫明と北村隆二のホットラインはその高さやキープ力を武器に多くのチャンスを作り出していた。しかし、肝心のフィニッシュにはなかなかたどり着けず、もどかしい展開が続いた。
一方、経験値に勝る秋田は実にしたたかだった。Jリーグ経験のある2トップと両サイドハーフが攻撃を作り、守備面では「最初にやられて勢いをつけさせることは避けたかった。ポジショニング、マークをきっちりとして柿本を自由にさせないように努めた」と秋田の横山博敏監督が語ったように、柿本へのマークがきつく、ペナルティエリア内で仕事をさせてくれない。32分には集中しきれていない間に、サイドからのクロスを松田にヘディングできめられて失点。いつもの『悪癖』は健在だった。
もっとも、松本も指をくわえていただけではない。1点ビハインドの後半15分、北村のヒールキックを受けた木村勝太が左サイドを駆け上がり、「左足だったので、浮いたボールよりもゴロで近い位置を狙った。中は見えていた」と、ゴール前にグラウンダーのクロスを上げると、トップスピードでゴール前に詰めていた本田真吾が流し込んだ。「遠目からのシュートだけではチャンスになりにくい。あそこには絶対に入って行こうと思った」と語った本田の同点ゴール。その後は相手ペナルティエリア内での時間も増え、逆転の雰囲気は確かにあった。
しかし、ここで勝ち越し点が決められない。惜しいシーンは数多くあったのだが。「(決定的なチャンスを)決めていかないと結果はついてこない」との本田の言葉が、この試合のすべてだ。「押せ押せの時間帯で決めきれなかった」(阿部琢久哉)、「自分たちのサッカーはできているが……」(須藤右介)。『反省の弁』は皆、判で押したように同じだった。
試合終了間際、ジャッジの問題が絡んだ2失点目の論評は避けたい。記者会見上でジャッジについて問われ、「(ジャッジへの疑問は)ないです」と吉澤監督は苦笑したが、それでも「平等なジャッジをしてほしい。近くで見てほしいとは訴えた」と首を何度もかしげるなど納得出来ていない様子はうかがえた。確かにジャッジは不安定だった。笛の音が鳴ってゲームが止まるたびに、スタンドからは無数の疑問符が上がった。試合終了後こそ「オフサイドじゃないかなと思ったんですが違ったみたいです。でも、(ジャッジは)終わったこと」(須藤)と皆が割り切っていたものの、試合中は明らかに動揺を隠しきれず、そのセンシティヴな精神状況はプレイにも反映されていた。
とはいえ、やはり敗因は『決めきれなかった』こと。「(戦術面の)上積みは必要だが、今の状況を継続したい。ベースがないと」と本田が語るように、シンプルに裏を突こうとする、あるいはサイドからの崩しを図る方向性は間違っていないと見る。一時期の絶不調は脱し、ある程度のクオリティは保てている。しかし、「細かいところですよね。クロスもファーサイドに流れることが多かったし、パスミスでラインを割る事もあった」とも。
正確なクロス、パスをしっかりつなげ、決めるべき時間にしっかりと加点する。それが言ってできるのであれば誰も苦労せず、こればかりは一朝一夕に解決する問題ではない。得点力不足について問われた柿本は苦笑いしながら、「もっとシュート練習するしかない」と話す他なかった。――勝利のため、さらなる『個の能力』を求められるとするならば、この問題の根は想像以上に深い。
■試合結果
2010年 JFL前期 第15節(6月13日)
松本山雅FC 1-2 ブラウブリッツ秋田
得点: 32分 松田(秋田)、60分 本田(松本)、85分 松田(秋田)
■筆者が選ぶ、MOM(マン・オブ・ザ・マッチ)
松田正俊(秋田):ストライカーの本職は、守備でもチャンスメイクでもなく、数少ないチャンスを確実に生かして点を取る事。それを正しく体現した。松本は敗北を喫したものの、ボランチの本田の活躍が光った。
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