PJ: 多岐 太宿
オール・オア・ナッシング。千葉で掴んだ蜘蛛の糸=松本山雅FCの跳躍
2009年12月05日 08:50 JST
2009年10月18日、FC岐阜SECOND戦でゴールを決めた木村勝太を選手が祝福する。(撮影:多岐太宿) 
【PJニュース 2009年12月5日】衝撃の天皇杯2回戦から1週間。舞台は松本から遠く離れた千葉県市原市。全国社会人サッカー選手権大会が開幕した。地域決勝出場枠を持たないクラブの眼前に垂らされた、か細き蜘蛛の糸。東北からは福島ユナイテッド、関東からはtonan前橋、北信越からは長野パルセイロ・ツエーゲン金沢、四国からはカマタマーレ讃岐。その他JFL昇格を目指すクラブが、地域決勝への出場枠2つを巡って、仁義なき総力戦を繰り広げる。
全社はトーナメント戦。地域決勝への出場枠は4位以上のチーム(優勝・準優勝チームが出場権獲得済みの場合、4位まで繰り下げられる)に与えられるため、まずは準決勝まで進出しないことには話にならない。しかし、浦和レッズを破ったはずのクラブは1回戦の小山田FC戦こそ4-0で快勝したものの、続く2回戦から苦戦を強いられることになる。1週間前の歴史的勝利で、松本山雅FCの名前は全国ニュースとして広く報道された。「J1クラブに勝ったチームを、俺たちが食ってやろう」というわけである。少なくとも対戦チームのモチベーションは高かった。
取材に出向いた2試合(1日目・2日目)共に、快勝とは言い難い出来であった。特に主力選手を並べて万全を期したはずの2回戦は、1-1のドローのまま決着がつかずに延長戦まで持ち込まれている。対戦相手はFC岐阜SECOND。昨年は辛島啓珠前松本山雅FC監督が率いていたチームである。その名の通り、J2FC岐阜のセカンドチームであり、県リーグ所属ではあるものの、選手のレベルは総じて高い「Jリーガー予備軍」。Jリーグ経験者も在籍しており、特に今季途中までツエーゲン金沢でプレーしていた遊佐克美は松本のことを知っているだけに注意が必要だった。
厳しい試合となった。前半こそピンチらしいピンチもなく、鐡戸から小林のヘッドを相手GKのファンブルで先制。しかし後半開始直後にセットプレーからの失点。その後は守備がばたつき始める。明らかに悪い傾向である。攻撃面でもパスはつながっているものの、フィニッシュで打てども打てどもゴールを割ることができない。
流れがワンプレーごとに揺れ動くなか、勝負を左右する決定的な事件が起こる。松本サポーターを挑発した遊佐が2枚目の警告を受け退場、岐阜は10人での戦いを強いられることとなった。こうなると松本は押せ押せ状態となり、1人少ない岐阜に対し波状攻撃、ゴール前に襲いかかる。しかしそれでも点を上げることができず、延長戦に突入後、コーナーキックから木村のヘッドでようやく勝ち越した松本はそのまま逃げ切ることに成功したのだった。
心身ともに疲労する試合ではあったが、試合がこう着しだすと途端に分を悪くする悪癖を何とか抑えることに成功した。褒められた内容ではないが、何にせよ勝ったことは大きい。ここから先に必要なものは内容ではなく、結果のみ。オール・オア・ナッシングである。
結局、魅力的な攻撃サッカーを見せた長野も、バルセロナ流3トップで挑んだ讃岐も一敗地に塗れ、己が哲学を抱えたまま沈んで行った。勝利を追求したサッカーで接戦を勝ち抜いてきた松本と金沢が勝者の資格を得たのは必然だったのかも知れない。【了】
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