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PJ: 大谷 憲史

ザトウクジラの骨格を組み立てたよ!=宮崎
2010年08月24日 05:26 JST


大学生、お姉ちゃんの力を借りてザトウクジラの骨を並べました。(8月22日 宮崎県門川町・門川漁港会議室 撮影:大谷憲史) 

【PJニュース 2010年8月24日】8月22日、宮崎県門川町の門川漁港会議室でザトウクジラの全身骨格の組み立て体験とクジラの紙芝居作りが行われ、地元の小学生30人が参加した。このザトウクジラは、2005(平成17)年2月、門川町同町沖の枇榔(びろう)島近くで死んだ状態で漂流しているのが発見された。NPO法人宮崎クジラ研究会(栗田壽男理事長、宮崎市)は、骨格標本にするために門川町の協力を得て、門川漁港内の乙島(おとじま)に埋設した。

2008(平成20)年5月31日、6月1日、乙島でのザトウクジラの骨格掘り上げが行われた。

宮崎におけるザトウクジラの骨格掘り上げは初めてであり、全国でも掘り上げた骨格を標本として展示しているところは、沖縄県の渡嘉敷村立歴史民族資料館、高知県のキラメッセ室戸鯨館、茨城県の大洗水族館、国立科学博物館(東京都)と、数が少ないまた、最近では05年1月に大分県の別府湾でザトウクジラが発見されたが、同年5月に定置網にかかり死んでいることが確認された。その後、埋設され、大分マリーンパレス水族館「うみたまご」が骨格標本を所蔵している。

初日の5月31日に、宮崎クジラ研究会、宮崎大学農学部獣医学科の学生、門川町関係者等の約25人によって、重機と人力を使いザトウクジラの骨格が掘り上げられた。2日目は、門川町内の小学生とその保護者70人を招いての学習会が行われた。

学習会では、海水と柄がついたタワシを使って、ザトウクジラの骨格を洗う作業を体験した。全長8.7m、体重約7トンもあったザトウクジラだが、宮崎県総合博物館の学芸員によると、まだ子どものザトウクジラとのことである。掘り上げたばかりの骨は薄黒く、残っていた腐った肉のにおいもあり、子どもたちは悪戦苦闘しながらタワシをつかって、ザトウクジラの骨を洗う作業を行っていた。

最初は臭いに困っていた子供たちも、タワシを使ってきれいになっていく骨格を見ていくうちに、臭いなど気にすることもなくなっていった。スタッフとして参加していた宮崎大学農学部獣医学科の学生の話を聞いたり、逆に子供たちが学生に質問したりして、ザトウクジラの骨格について学んでいた。子供だけで保護者もスタッフに質問するなどして、有意義な学習会となった。

学習会終了後、ザトウクジラの骨格は県総合博物館に運ばれ、1年かけて残った肉片を除去するなどしたあと、骨格標本にされた。

2009年3月7日、宮崎県総合博物館の1階ロビーで、ザトウクジラの骨格標本の展示が始まった。開催初日と2日目は「クジラと海の学習会」が開催され、宮崎くじら研究会の栗田壽男理事長による講座が行われた。

1階ロビーの展示会場に並べられたザトウクジラの8m近くある全身骨格標本。掘り上げ当時は薄黒かった骨が白くなっていて、新幹線の先頭車両の流線型を思わせるような頭骨は、とても美しい。

宮崎くじら研究会の資料によると、1976(昭和51)年から2008(平成20)年までの32年間、クジラが宮崎の海岸にストランディング(死亡後漂着、生きたまま漂着、定置網による偶発的な捕獲等)したケースは56件。最も多い種は14件のオガワマッコウで、ミンククジラの12 件、ハナゴンドウの8件と続く。しかし、ストランディング数が多いにも関わらず、オガワマッコウの生態は良く分かっていない。

また、1982(昭和57)年1月6日には、宮崎市青島海岸に119頭のカズハゴンドウが集団でストランディングした例があったが、その原因はいまだに解明されていない。

「謎の多いクジラの生態に興味が引かれ、研究を続けている」と栗田理事長は話す。

さて、今回、ザトウクジラは打ち上げられた場所に里帰り、地元の小学生30人が、ザトウクジラの骨格の組み立てに挑戦した。

「ザトウクジラの骨格を組み立てられることは、一生の中で貴重の体験です」と栗田理事長が話すと、子どもたちは組み立てに意欲を燃やしていた。

宮崎大学の学生さんたちの主導のもと、机に並べられた骨を番号の若い順に探し出した。実際にザトウクジラの骨を手にした子どもたちは、「意外と軽いね」などと言いながら、落とさないようにして展示位置までに運んだ。

頭骨・上顎骨・下顎骨だけでも2メートルもあり、子どもたちは、その後に続く49個の脊椎骨を順番に並べて組み立てた。子どもたちは、台座に置かれた骨を満足そうに眺めていた。

約40分で組み立ては終わり、次にクジラの紙芝居作りに挑戦した。

講師は、福岡市博物館の主任学芸主事の鳥巣京一先生。鳥巣先生が用意された脚本は「くじら島」。神武天皇の東征の際、門川の沖合で出会ったクジラのお話である。神話の国・みやざきにふさわしい題材である。

鳥巣先生の説明を聞いて大学生と一緒に描いていくが、古代の人々の衣装が描きにくく、大人たちも参加しての作業となった。紙芝居は1時間程度で完成し、みんなの前で発表した。

完成した紙芝居は、後日、名刺サイズの大きさになって子どもたちに配られることになっている。カバーの裏側には、作成にあたった子どもたちの名前が印字される。子どもたちにとっては、良い思い出になったことだろう。

このザトウクジラの全身骨格標本は、9月5日まで、門川町の門川漁協で一般公開される。

私たちは海洋国家・日本に住んでいながら、クジラの生態について多くのことを知らない。このような骨格掘り上げ会や展示・学習会を通じて、クジラや海について学んでいきたいものである。【了】

■関連情報
【YouTube動画】
ザトウクジラ骨格組み立て体験
クジラの紙芝居作り
ザトウクジラ全身骨格標本の展示

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PJ 記者