PJ: 大谷 憲史
「古代米人気」をブームで終わらせるのか
2009年10月14日 07:02 JST
黒米いなりの中は紫色、甘くてコクがあっておいしかったっです(撮影:大谷憲史、10月13日) 
【PJニュース 2009年10月14日】今、健康志向を背景した古代米に人気があるらしい。私は取材後の整理やビデオ編集などで夜遅くまで作業をしている。作業の息抜きに近くのコンビニに行くぐらいで、古代米が売られているようスーパーなどに立ち寄ることは少ない。古代米にお目にかかることはないのだが、いつものように近くのコンビに出掛けると、「黒糖入り黒米いなり」という商品が目に飛び込んできた。どこかで聞いたことがある名前だったので、即購入した。どこで聞いたのだろうか・・・。
黒米は中国南部原産のもち米の一種で、古来より神事や祝い事などに使われてきた。中国では、皇帝だけが口にできたという「高貴な米」だったらしい。黒米の黒い部分は米ぬかで、紫色の天然色素 「アントシアニン」 が主成分である。中国では古くから漢方薬として使われ、白米に比べて鉄分は4倍、ビタミンB2は3倍、植物繊維は5倍も多く含まれている。貧血、動脈硬化、大腸ガンの予防や便秘解消、高血圧の解消などに効果があるといわれている。このことが健康志向と相まって「古代米ブーム」につながっているのだろう。
さて、10月13日、いつものようにいつものコンビニに出掛けた。昼食の時間をだいぶ過ぎたが、おにぎりコーナーに行くと、「黒糖入り黒米いなり」という商品が目に飛び込んできた。どこかで聞いたことがある名前だったので、その商品を手に取ると、パッケージの左上に「日曜劇場JIN―仁―」と書かれていた。
10月11日から始まったTBSの日曜劇場「JIN―仁―」とセブンイレブンのタイアップ商品なのである。確かに私も、ビデオ編集をしながらこの番組を観ていた。お茶屋でおいしそうに食べている黒米いなりがアップされていたが、そこで頭の中に「黒米いなり」が刷り込まれたのだろう。なるほど効果的な商品PRではある。
さっそく、自宅で食べてみた。いなりの皮は黒糖で煮てあり、コクのある風味豊かな味になっている。黒米いなりではあるが、中は紫色になっているので、「紅米いなり」と呼ぶところもある。宮崎県延岡市北方町のれんげ亭では、この紅米いなりを地場産品として売り出している。
古代米には、貧血、動脈硬化、大腸ガンの予防や便秘解消、高血圧の解消などに効果があることは前述したが、健康に不安がある人すべてが、自分の健康のために古代米を食べているわけではない。古代米ブームが過ぎ去れば、今度は違う商品がクローズアップされ、そちらに流されるだろう。それでは「健康的」とはいえないだろう。
本当に「自分の健康」のことを考えるならば、現在の食生活をすべて見直さなければならない。
鳩山首相は、地球温暖化対策として2020(平成32)年までに二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を「1990年比25%削減する」という目標を打ち出した。こちらは「地球の健康」のことを考えてということだろうか。健康志向ブームのような一過性のものではない。
この「1990年比25%削減する」を達成のためには、企業だけではなく、国民の理解と協力も必要となる。本当に健康的な生活を望むのであれば、食生活も1990年、いや、それ以前の水準に戻って持続可能なものにしていく必要があるのではないだろうか。
コンビニで購入した黒米いなりは、江戸時代のそれとは大きく味は違うだろうが、今より便利ではなかった時代のほうが、豊かな食生活を送っていたのではないかと、思いをはせた。【了】
■関連情報
○JIN―仁―の黒糖入り黒米いなり
○れんげ亭
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