PJ: 三田 典玄
携帯電話の劇的な変化が始まる?
2010年04月05日 08:00 JST
写真は一番上が携帯端末。真ん中がW-SIM、一番下がSIMカード。このように通信方式や周波数を吸収するハードウエアのレイヤと、キャリアの属性を吸収するアブストラクトを入れたSIMカードが統一されると良いかもしれない。 (撮影:三田典玄) 
【PJニュース 2010年4月5日】iPadの登場を日本でも心待ちにしている人がけっこういる。しかし、iPadのもたらす「ケータイ」の変化はそれだけではない。このiPadはだいたいからして「携帯電話」と言うにはその図体が大きすぎる。つまり「携帯電話のインフラは使う」が、実は携帯電話そのものでは、もちろんない。まず「通話」そのものが、このカタチでは「どうでもいい」ことになる。こんな大きなものを携帯電話としてほっぺたにくっつけて「モシモシ」とかやる人はまずいない。ポケットにも入らない。要するに、これは「携帯端末」の本当の姿の1つだ。「電話」は要らない。iPhoneとも違う。
「そんなことは言われなくてもわかってるよっ!」とか言われそうだが、これまでの単体のモバイルデバイスのほとんどが、「電話」機能を持っていた。データ専用、というのはほとんどなく、多くの人はデータ通信も音声通信もできる「複合端末」を持っていたわけだ。しかし、iPadはそうではない。最初からデータ専用端末として開発されている。データ専用端末がいよいよポピュラーになる、その第一歩がこのiPadだ。
さらに、もう1つの問題提起をこの端末がしている。いわゆる「SIMカードのフリー化問題」だ。電子書籍の閲覧端末としてこれを使うとき、携帯キャリアをどこにするか、ということが問題になるが、SIMカードを入れ替えれば、どのキャリアでも使えるようになるようにしたい、というわけだ(そうなることが理想だが、実際には周波数や電波方式の違いなどでそう簡単にはいかない)。そのため、原口総務相とソフトバンクの孫氏とのあいだで、twitterでの論争もあったと聞く。
データ専用端末の広がりとSIMフリー問題は、どうしたら解決できるだろう?
その答えは、先日会社更生法の適用を受けたWILLCOMにある、とPJは思っている。WILLCOMには、「SIMカード+無線部分モジュール」の機能を持った「W-SIM」というモジュールがあるのは、最近のWILLCOMの端末を使ったことがある方であればご存知だろう。このモジュールは切手大の大きさで、ここに無線の送受信部分も入っている「SIMカード」だ。
例えばWILLCOMの端末を1台持っていると、もう1台増設したいときは、端末を買って、この「W-SIM」を入れ替えるだけで、新しい電話が使える。逆に、新しい周波数帯や電波方式ができたとしても、端末はそのままで、このモジュールだけを取り替えればよい(理想はそうだが、詳細はまだ統一されていない)。
つまり、使用周波数や通信方式が変わっても、このモジュールを取り替えるだけで、通信方式も周波数も全く違う他のキャリアに乗り換える、などの技が使える、ということになる。これに従来のSIMカードを挿せるようにしておけば、あとは「W-SIM」対応の端末はどこのメーカーのものでも、なんでも選べば良い、という仕組みができる。SIMカードには、端末の情報はなく、キャリアの登録情報のみが入り、SIMカードを入れるW-SIMには通信方式や周波数の違いなどを吸収するためのハードウエアが入るようにする。
W-SIMを日本の作った「標準インターフェイス」として洗練し「こうすれば世界のどこでも統一した携帯環境を作れる」というものにすると良いのではないだろうか?。iPadの出現は、それ自身はKindleの対抗として出てきたものではあるにせよ、モバイルのデータ通信を本格化し、携帯通信端末のありかたに大きな一石を投じた、という意味で大きく評価したい。そして、その上でPJはいよいよ、国をまたいでも、またキャリアをまたいでも、変な「縛り」の無い携帯端末環境が生まれることを望んでいる。おそらく、今は携帯端末の新しい変化を正しく認識し、この新しい流れを作れるかどうかが、業界の覇者となるかどうかの境目になることだろう。iPadの出現は変化であり、変化はチャンスを内包している。
あと数年すれば「携帯端末はコンビニで買うもの」ということになるかも知れない。【了】
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