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PJ: 石川 信義

昔とんぼの旅日記-イラン編(58)
2009年12月19日 10:55 JST


(画:石川信義) 

【PJニュース 2009年12月19日】ひと眠りして気分転換し、夕刻、バザールへ出掛けた。ここのバザールは、200年くらい前からテヘランの経済中枢を担ってきた巨大なものだ。迷路のようだというからきっと迷うだろう。そう思って行ったら、やっぱり迷った。中へ入ると西も東もさっぱり分からぬ。あっちだ、こっちだと歩いていると、また元の場所へ戻ってしまう。

このバザールは中近東方式で、服屋は服屋、時計屋は時計屋、宝石商は宝石商とひと固まりの区域になっている。そのひと固まりが並でなく広い。香辛料屋の区画なんか、山と積まれた香辛料の色の洪水。むせかえるような強烈な匂いが充満して、頭がクラクラしてくる。それでいていつまでもそこに居たい気分だ。方角も忘れる。迷って迷って、2時間の余りもかかって元の通りに出た。

ここのバザールは雰囲気がよい。通路の天井なんかボロボロで、イスタンブールのバザールなどより生活の匂いがはるかに漂っている。ちょうど、閉店間近の時間帯だったから、店員たちが右往左往してバタバタ片付けをしている様子がおかしかった。午前中は人波で溢れるとか。明日もここへ来てやろうと思って出てきた。

とうとう、イラン最後の夜となった。

僕は、明日の夜行便でテヘランを飛び立ち、明後日の昼過ぎに成田へ着く。【つづく】

■関連情報
石川信義(いしかわ・のぶよし):1930年、群馬県桐生市生まれ。海軍兵学校78期、旧制二高を経て、東京大学経済学部・医学部卒。学生時代は東京大学スキー山岳部所属。61年、第5次南極観測隊に参加。65年、東京大学カラコルム遠征隊の副隊長・登攀隊長。東京大学附属病院神経科、都立松沢病院勤務を経て、68年、群馬県太田市に三枚橋病院を創設し、日本初の完全開放の精神病院を実現した。以来、精神病院の自由・開放化、精神障害者の地域化(ノーマライゼーション)運動に尽力する。

著書に、『心病める人たち』岩波新書(1990年)、 href="http://books.livedoor.com/item/1754987">『鎮魂のカラコルム』岩波書店(2006年)、『開かれている病棟』(星和書店)など。

【むかしとんぼ】ムカシトンボ(昔蜻蛉)、学名Epiophlebia superstes。トンボ目・ムカシトンボ科のトンボ。体長約5センチ。春季、渓流で見られる。日本固有種。原始的なトンボの形をつたえ、生きている化石といわれる。日本以外では近縁種のヒマラヤムカシトンボ(Epiophlebia laidlawi)がヒマラヤ山脈周辺に分布するのみ。

石川信義ブログ『昔とんぼの旅日記』

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