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PJ: 石川 信義

昔とんぼの旅日記-イラン編(57)
2009年12月18日 07:29 JST


(画:石川信義) 

【PJニュース 2009年12月18日】考古学博物館を見終って、すぐ近くと聞いていた「宝石博物館」へ行った。ここには、歴代の王が使用した宝石ずくめの品々が陳列されている。宝石に興味はないが、ペルシヤの富には興味がある。

中へ入って驚いた。これは宝石の洪水だ。

椅子、王冠、剣、衣装、日常生活品のあらゆるものが、ばかでかい宝石でびっしりと飾り立てられている。インドから奪ってきた玉座なんてものもある。

背の高さくらいの大きな地球儀が、台座も地球もすべて宝石で作られている。太平洋や大西洋は鳩卵大のエメラルド、七大陸が同様大のルビーだ。イランだけがダイアモンドなのには笑った。日本は? と見たら、日本は小さな小さなルビーだった。

バーレビ朝シャー国王の王冠にも恐れ入った。ピンク・ダイアモンドで世界一大きい「光の海」と名付けられたものは、182カラットだ。大体どでかいダイアというのは、持ち主が次々と不幸に見舞われる伝説がつきものだろ? ブルーダイアの最大のものは「ホープ希望」と名付けられ44カラットだが、この宝石の持ち主は次々と不幸に見舞われた、最後の持ち主はアメリカの大金持ちだったが、このダイアに嫌気がさし、スミソニアン博物館に寄贈した。ところで、この宝石はどうなのかな? この王冠は初代のバーレビシャー国王が作らせたもので、こんな贅沢なものをシャーが持っていたら宝石のたたりで、大抵、民衆に倒されるよ。ホメイニも怒るさ。

博物館には、青い目の御婦人たちが多勢見に来ていた。女性はほんとに宝石が好きだ。遺跡を見る時と目が違う。食い入る目だ。きっと一人ひとりが、せめてこの中のごくちっちゃなものでもいいから、盗めたらナァと思っているに違いない。

僕はと言えば、小さなものは要らねえ、世界一番の「光の海」をどうやったらかっぱらえるか、この地下金庫への侵入経路は? などと不埒千番なことを考えている。怪盗ルパンなのだ。

それにしてもここは、ダイア、ルビー、エメラルド、サファイア、馬鹿でかいのがゴマンとある。その大きさ、その数で、恐らく世界で一番ではないか。イラン、恐るべしだ。

ゲップが出るほどの宝石を見て、今朝移ったシングルの部屋に戻った。なにっ部屋代の節約? なんてみみっちい話だ。宝石の山を見てきた僕は顔をしかめる。【つづく】

■関連情報
石川信義(いしかわ・のぶよし):1930年、群馬県桐生市生まれ。海軍兵学校78期、旧制二高を経て、東京大学経済学部・医学部卒。学生時代は東京大学スキー山岳部所属。61年、第5次南極観測隊に参加。65年、東京大学カラコルム遠征隊の副隊長・登攀隊長。東京大学附属病院神経科、都立松沢病院勤務を経て、68年、群馬県太田市に三枚橋病院を創設し、日本初の完全開放の精神病院を実現した。以来、精神病院の自由・開放化、精神障害者の地域化(ノーマライゼーション)運動に尽力する。

著書に、『心病める人たち』岩波新書(1990年)、 href="http://books.livedoor.com/item/1754987">『鎮魂のカラコルム』岩波書店(2006年)、『開かれている病棟』(星和書店)など。

【むかしとんぼ】ムカシトンボ(昔蜻蛉)、学名Epiophlebia superstes。トンボ目・ムカシトンボ科のトンボ。体長約5センチ。春季、渓流で見られる。日本固有種。原始的なトンボの形をつたえ、生きている化石といわれる。日本以外では近縁種のヒマラヤムカシトンボ(Epiophlebia laidlawi)がヒマラヤ山脈周辺に分布するのみ。

石川信義ブログ『昔とんぼの旅日記』

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