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PJ: 石川 信義

昔とんぼの旅日記-イラン編(48)
2009年12月09日 08:19 JST


(画:石川信義) 

【PJニュース 2009年12月9日】「モスク・ヴァキール」のバザールへ行ってきた。午後10時だ。

夜に見る「ピンクモスク」は、また一段と美しかった。エイバーン入口門のピンクとブルーが夕闇に溶けていた。しばし見とれた。

バザールでは、ペルシヤ紋様の大きな飾り皿を買った。駱駝(らくだ)の骨を用いた寄せ木作りで大変に精巧なものだ。これはデイケアのメンバーさんへのおみやげ。昨日求めた彫金の飾り皿ではいささか貧弱だと思っていた。今度のは、でかくて綺麗だから壁に掛けたらみんな喜んでくれるに違いない。

どこかで夕食をと思ったが、イラン料理はどうも感心しない。イランに来て、唸るような食べものにまったく出会っていない。不味(まず)くて唸るのには何度も出会った。肉汁したたり落ちるような羊の串焼きを食べたいが、イランの串焼きは少々パサパサで味もさっぱりだ。ウズベキスタンのはえらく大きい肉で野性的、芳醇な味わいがあった。都会人と遊牧民の差だろう。イランで食べたものでは、イスファハーンの おじぃちゃんの店の羊カバブが一番美味しかった。やっぱりあのおじぃちゃんの店だけある。

そんなわけで、レストランには寄らないで、買った飾り皿を抱えてそのままホテルへ戻って来た。これから、持参のインスタント親子丼と味噌汁を作って食べる。インスタント親子丼は登山用食品なんだが、これが結構美味しい。少なくともイランのレストランの食物に較べればこっちの方が数段も上だ。どうしてイラン料理ってのは、不味いんだ?

肉は煮込み料理が多い。これが塩味だけで単純で素っ気ない。たまに、香辛料が入っている! と喜んでも、パンチがなくてもどかしくなる頼り無さだ。おまけに、スープがぬるいときている。ホテルのボーイに聞いたら、イラン人は猫舌なんだそうだ。「熱い食物を避けよ」とアッラーの神が言っているそうな。これは知らなかった。ほんとかな?

煮込みが駄目なら炙(あぶ)り焼きと思って、何処へ行ってもカバブ、カバブと言うが、これも滅多に美味しいのに出会わない。焼き方が駄目、おまけに、鶏の肉に至っては不味いブロイラーのなかで一番不味い奴を選んで買ってきたのかと思えるほど不味い。素材を選ぶなんてことはコックの念頭にまったく無いみたいだ。不味いのに量だけは多い。コケコッコーの串焼きを頼んだら、どこだったか、げんごつくらいの肉の塊を四つ、それも二本もお皿に乗っけてきた。イランは質より量が大事らしい。

まあ、イランの土地にいて悪口言いたくないが、少なくともレストランのコックに限って言えば、イラン人はイギリス、アメリカと同等だな。いずれ劣らぬ味覚音痴だ。【つづく】

■関連情報
石川信義(いしかわ・のぶよし):1930年、群馬県桐生市生まれ。海軍兵学校78期、旧制二高を経て、東京大学経済学部・医学部卒。学生時代は東京大学スキー山岳部所属。61年、第5次南極観測隊に参加。65年、東京大学カラコルム遠征隊の副隊長・登攀隊長。東京大学附属病院神経科、都立松沢病院勤務を経て、68年、群馬県太田市に三枚橋病院を創設し、日本初の完全開放の精神病院を実現した。以来、精神病院の自由・開放化、精神障害者の地域化(ノーマライゼーション)運動に尽力する。

著書に、『心病める人たち』岩波新書(1990年)、 href="http://books.livedoor.com/item/1754987">『鎮魂のカラコルム』岩波書店(2006年)、『開かれている病棟』(星和書店)など。

【むかしとんぼ】ムカシトンボ(昔蜻蛉)、学名Epiophlebia superstes。トンボ目・ムカシトンボ科のトンボ。体長約5センチ。春季、渓流で見られる。日本固有種。原始的なトンボの形をつたえ、生きている化石といわれる。日本以外では近縁種のヒマラヤムカシトンボ(Epiophlebia laidlawi)がヒマラヤ山脈周辺に分布するのみ。

石川信義ブログ『昔とんぼの旅日記』

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