PJ: 石川 信義
昔とんぼの旅日記-イラン編(38)
2009年11月29日 07:00 JST
(画:石川信義) 
【PJニュース 2009年11月29日】25日、水曜日。
今日は、起きるとすぐに「モスク・ヴァキール」へ行った。このモスクのエイバーン入口門は、その色の美しさから「真珠」とよばれているそうな。今日のいちばんのお目当ては、そのエイバーンのピンクの色だ。その色をしかと見たい。
そもそも、イランでピンクのタイルは珍しい。めったに見られないものだ。11世紀のものは煉瓦色タイル、13世紀は青と白、14世紀になって色付け技術が進み、モザイクや絵つけタイルになったが、それでも青。17世紀のサファビー朝で、イスファハーンで見た輝きある青にイランタイルは収斂した。ここのモスク・ヴァキールは18八世紀に作られたというから、タイル絵付けがさらに進化してピンク色まで作られるようになったのだろう。いわばイランタイルの集大成の色であるに違いない・・・。
モスク・ヴァキールは、下町風の界隈にあって、門前にみやげ物屋が並び、その横に大きなバザールが拡がっていた。タクシーを降りたら、目の前がエイバーンだった。一目で気に入った。実に優美でやさしい姿なのだ。
近づいてその下に立ったら、その壁面の装飾の色の美しさに魅入られた。壁面の絵の図柄は草花なんだが、総体に、淡いピンクと水色が使われており、その二色が混然一体となって調和し、うっとりするような優雅な趣を表現している。実に良いものだった。感じ入った。これぞ、ペルシヤ芸術の粋と言うべきだろうと思った。小半刻も、そのエイバーンの壁に見とれていた。
それから僕は、広場の隅へ腰を下ろし、そのエイバーンの絵を描き始めた。幸い、人影は少ない。【つづく】
■関連情報
石川信義(いしかわ・のぶよし):1930年、群馬県桐生市生まれ。海軍兵学校78期、旧制二高を経て、東京大学経済学部・医学部卒。学生時代は東京大学スキー山岳部所属。61年、第5次南極観測隊に参加。65年、東京大学カラコルム遠征隊の副隊長・登攀隊長。東京大学附属病院神経科、都立松沢病院勤務を経て、68年、群馬県太田市に三枚橋病院を創設し、日本初の完全開放の精神病院を実現した。以来、精神病院の自由・開放化、精神障害者の地域化(ノーマライゼーション)運動に尽力する。
著書に、『心病める人たち』岩波新書(1990年)、
href="http://books.livedoor.com/item/1754987">『鎮魂のカラコルム』岩波書店(2006年)、『開かれている病棟』(星和書店)など。
【むかしとんぼ】ムカシトンボ(昔蜻蛉)、学名Epiophlebia superstes。トンボ目・ムカシトンボ科のトンボ。体長約5センチ。春季、渓流で見られる。日本固有種。原始的なトンボの形をつたえ、生きている化石といわれる。日本以外では近縁種のヒマラヤムカシトンボ(Epiophlebia laidlawi)がヒマラヤ山脈周辺に分布するのみ。
石川信義ブログ『昔とんぼの旅日記』
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