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PJ: 石川 信義

昔とんぼの旅日記-イラン編(22)
2009年11月13日 08:53 JST


ザーヤンデ川のスィー・オセ橋。(画:石川信義) 

【PJニュース 2009年11月13日】歩きながら考えた。

こちらへ来て、ふーんと思ったことがある。僕はイラン国中に反アメリカの空気が充満していて、アメリカの「ア」の字もないだろうと思っていた。ところが、バスの中のテレビは、「ロッキー」の俳優、なんと言ったっけ? シルベスター・スタローン、そんなのが写っていた。バザールではメイド・イン・USAもある。ちまたにアメリカやっつけろの声も聞かない。反米のスローガンも見当たらぬ。至って平和な雰囲気なのだ。経済制裁で窮屈かと思ったら、人々はそれぞれ楽しんでいるふうだ。これは少々意外だった。

多分、一人ひとりに政治の話をさせたらイスラム主義や反米の言葉が出てくるのだろう。「ブッシュの奴めがナ」云々の話もしてみたいが、いまのところまあ慎んでいる。イランはシーア派が主流の国だから、イラク・スンニ派自爆攻撃の話もどうかなとためらう。僕の下手な英語では、誤解の恐れなしとしない。余計な口出しすべからずか。こういう俺は、「君子」の輩に属するかな。御身大切に、やだねぇ。

ホテルへの帰途、道端で立ち飲みしたスイカジュースが素晴らしく美味しかった。ホテルのレストランで晩飯に羊のあぶり焼きを食べたが、これは駄目。ウズベキスタンの足元にも及ばない代物だった。あぶり焼きは遊牧民でなければ、やっぱり駄目だ。部屋に戻ってこれを書いていたらもう真夜中だ。書き疲れてベランダへ出た。

今夜は星が眩(くるめ)いているが、満天のとはいかない。ベランダの下の通りは、もう人影もなく、ひっそりとしている。【つづく】

■関連情報
石川信義(いしかわ・のぶよし):1930年、群馬県桐生市生まれ。海軍兵学校78期、旧制二高を経て、東京大学経済学部・医学部卒。学生時代は東京大学スキー山岳部所属。61年、第5次南極観測隊に参加。65年、東京大学カラコルム遠征隊の副隊長・登攀隊長。東京大学附属病院神経科、都立松沢病院勤務を経て、68年、群馬県太田市に三枚橋病院を創設し、日本初の完全開放の精神病院を実現した。以来、精神病院の自由・開放化、精神障害者の地域化(ノーマライゼーション)運動に尽力する。

著書に、『心病める人たち』岩波新書(1990年)、 href="http://books.livedoor.com/item/1754987">『鎮魂のカラコルム』岩波書店(2006年)、『開かれている病棟』(星和書店)など。

【むかしとんぼ】ムカシトンボ(昔蜻蛉)、学名Epiophlebia superstes。トンボ目・ムカシトンボ科のトンボ。体長約5センチ。春季、渓流で見られる。日本固有種。原始的なトンボの形をつたえ、生きている化石といわれる。日本以外では近縁種のヒマラヤムカシトンボ(Epiophlebia laidlawi)がヒマラヤ山脈周辺に分布するのみ。

石川信義ブログ『昔とんぼの旅日記』

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