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PJ: 石川 信義

昔とんぼの旅日記-タイからラオス編(43)
2009年10月14日 07:00 JST


タイ・ナコンパノムの露店街。(画:石川信義) 

【PJニュース 2009年10月14日】ナコンパノムの2日目。1月12日だ。

朝、ベットから起き上がったら、いつになく肩が軽い。背中の張りが薄れている。どういう訳かと考えたら、昨日は「大事モノ肌チョッキ」を身につけていなかったせいだと気が付いた。

ここのホテルへ来て、この旅で初めてのセイフティ・ボックスがあった。それで大事モノをそこへ預けた。せいせいした。パスポートとドルと日本円、目方にしたら大した重さではないが、それを入れた肌チョッキを着ていると肩が窮屈で邪魔になって仕方がなかった。

「肩の張りがなくなったのはあれを脱いだせいなんだァ」、そう思い当たって、朝から愕然(がくぜん)とした。あんな小さな荷物が体に加わっただけのことで肩が張る。僕の体は少しづつ筋肉が衰え、神経が衰え、骨が薄っぺらになりつつある。その結果、ちょいと体に負荷がかかると、このざまだ。「夕暮れどき」が僕に迫ってるんだと、今朝は実感した。

実感はしたものの、いつまでも深刻でいられないのが僕の性分だから、昼になったら「夕暮れ」なんかすっかり忘れて、のほほんと町へ出掛けていった。ここも、もう何にも見る所はない。こういう時は市場へ行くに限る。市場というのはいつでも活気があり、そこら周辺の家々まで庶民の生活においがプンプンと漂っているものだ。

大勢の人が忙しく働いている。ラオスの市場に比べると、ここは商品の種類が断然多い。値段も高い。野菜など五割かた高いようだ。

僕がふらふら見て廻(まわ)っていたら、ぽんぽんと僕の肩をあんちゃんがたたいて、ズボンの後を指さした。ジーパンの後ポケットから小銭の札束がはみ出ていた。ああ、ここはラオスじゃなくて、タイだったんだァと思った。

こんな小さな町でも、タイではスリが出没するのだ。

タイも、昔はこんなでなかった。今よりずっと貧しい国だったのになァ。国が貧しいからスリ、カッパライ、強盗が出るのではなく、むしろ国が富んでくるとなおさら出てくるのではないか。「貧スレバ鈍ス」も一面の真実だろうが、富スレバヤバクなるもある。いまの日本がそれだ。タイも同じ。

市場の片隅で一枚、画を描いた。描かれた焼き鳥屋のおばちゃんが、キャッキャと喜んだ。川辺のオープンレストランで、メコンの風に吹かれてお茶を飲み、ホテルへ戻った。ひと休みしてまた出掛ける。夜はやっぱり、あの露店街がいい。【つづく】



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PJ 記者