PJ: 小田 光康
裁判員制度のココが分からない、元検事の山尾志桜里さんに聞いた(中)
2009年07月10日 05:11 JST
元検事の山尾志桜里さん 
【PJニュース 2009年7月10日】(上)からのつづき。
-裁判員が判断を下したくない場合、下せない場合はどうなりますか。
「法律上、裁判員は事件について裁判官と一緒に議論する際に、意見を述べなければならないとされています。裁判員は判断を下したくない、下せないという場合でも、判断を下すことを求められます」
「ただ、たとえば、死刑を選択するか否かという議論の際に、どうしても判断を下したくない、下せない、どちらとも判断できないと悩み苦しむ裁判員に対して、『それでもどちらかの判断を下す』ことを求めることが、その裁判員の『内心の自由』『表現の自由』『思想・良心の自由』『信仰の自由』など不可侵の権利を侵すことにならないかという問題意識を共有すべきだと、私は考えています」
-裁判員の期間中、経済的な保証はどうなっていますか。
「裁判員や裁判員候補者となって裁判所に足を運んだ場合、日当と旅費(交通費)が支払われます。裁判所が自宅から遠いなどの理由で宿泊を伴う場合には、宿泊料も支払われます」
「日当は、裁判員候補者については1日当たり8000円以内。実際に裁判員に選ばれた場合には1日当たり1万円以内が支払われます」
「旅費は、鉄道・船の区間であれば鉄道運賃・船舶運賃が支払われ、鉄道・船のない区間は距離に応じて1キロ当たり37円で計算した金額が支払われます。また、離島や遠隔地から裁判所に行く場合など、飛行機を利用しなければいけない場合には、航空運賃が支払われます」
「日当や旅費などは、事後に口座振込により支払われます」
「裁判員等として裁判所に行くために会社を休む場合、無給なのか有給なのか、有給だとしても通常の有給休暇を消化することになるのか特別の有給休暇を利用できるのかは、各企業の判断に委ねられています」
-裁判員の判断で被告・原告ら当事者から逆恨みされ、危害を受ける危険性はないのですか。
「逆恨みによる危害の危険を減らすため、以下のような取り組みが予定されています。
? 裁判員の名前や住所は公にされない(判決書にも裁判員の名前は掲載されない)。
? 裁判員の顔などが法廷内で撮影され、テレビや新聞で報道されることもない。
? 裁判員に課せられる守秘義務により、裁判員の誰がどのような意見を述べたかということも公にされない。
? 裁判員が法廷や評議室へ移動する際、事件関係者等と接触することがないよう、部屋の配置等を工夫する」
「それでも、危害を受ける恐れがあると考えられる場合には、裁判員の関与なしに裁判官のみで審理するという手続きもあります。また、事後的には、裁判員や裁判員であった人、その家族を脅したり、困らせる行為をした者は、厳しく処罰されることとなっています」
「いずれにしても、これまでとは異なり、組織の後ろ盾を持たない一般の国民が裁判に直接関与するわけですから、これまで裁判官や裁判所職員が危害を加えられた事件はほとんど起きていないとはいえ、安心しきる訳にはいきません。裁判官のみでの審理手続きを弾力的に活用していくべき場面も出てくると思われます」
【つづく】
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