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PJ: 宮本 聰

ジェネリック医薬品、医師の技術料を上げれば普及するかも!
2010年01月13日 09:00 JST

【PJニュース 2010年1月13日】ジェネリック医薬品の普及が遅々として進まない。厚労省は診療報酬改定で先発薬の薬価引き下げで対抗しようと考えているらしい。

現在検討している案では、ジェネリックで保険適用が認められた薬は4〜6%、ジェネリックのある先発薬は一律2%引き下げようとするものだ。果たしてこれでジェネリックは普及するのだろうか。政府は今後もジェネリックの普及が進まない場合、平成24年度以降更に下げ幅を強化する方針であるという。

ジェネリックの普及目標を平成24年度は30%以上にするとしている。これは平成16年度の実績16%のわずか2倍である。ちょろちょろと小出ししてお茶を濁すような施策では到底目標達成は図れまい。先進諸外国と同じようにいっそのこと目標を50%以上にしてはどうだろうか。

どうやって普及率を上げるか。逆説的な発想だが医師の技術料を思い切って上げればジェネリックは普及すると思われる。薬を処方できるのは薬剤師でも看護師でもない、医師の専権事項なのだ。

異論があるのを承知で医師がなぜジェネリックを使おうとしないのかを考えてみたい。

■医師がジェネリックを毛嫌いする理由
各種のアンケートで医師の多くがジェネリック医薬品に対してどのように感じているのかといえば、極めて程度の低い意見が多い。新薬と同じ医薬品承認が下りている薬に対して答える内容と思えない。ジェネリックを排除するためのこじつけと思われても仕方がない。

1)品質が一定していない、2)効果に不安、3)副作用が心配、4)安定供給できない、5)情報提供が少ない

1)、2)、3)については、新薬でも同じこと。では薬価収載されたジェネリックはまがいものとでも言うのだろうか。国が認めた医療用医薬品ではないか。ジェネリック医薬品といえども生物学的同等試験、溶出試験、安全性試験など先発医薬品と安全性・有効性・品質が同等であることを証明し厳しい審査に合格したものである。もしこれらの要因が事実とするなら医師や医師会は承認取り消し運動を展開すべきである。

ボイコット運動など聞いたこともない。もちろん、安定供給に関してはメーカーの更なる努力が必要だろう。だがジェネリックが多量に使われ始めればこの問題は解決する。医薬情報に限っては長年使用されてきた薬のどんな情報が欲しいというのか。また特許に関して成分特許(ジェネリックの意味)以外の製法特許がどうのとかこじつけに近い意見もあるが、忖度に値しない。総合的に検討され承認がおりた薬ではないか。

■医師がジェネリックを使わない本当の理由
知り合いの開業医に聞いてみた。現にその医師もジェネリックはあまり使っていない。患者に「新薬は薬の切れがよく良く効く」とか、「持続時間が長く、一日1回の服用でよい」などもっともらしいメリットを話せばなにも言われないらしい。

1)薬価が低い
儲からないの一言。薬によってはさほど薬価差のないものもあるが、薬価が低いのでグロスで考えれば薬価の高い先発薬を使った方が収入を得やすい。新薬に比べ1/3、1/2にもなる。

2)めんどくさい
どんな薬があるか知らない。大学や臨床現場で習いおぼえた薬に執着する医師が多い。また薬も製品名(=メーカー)でおぼえている。さらに「ジェネリック代替可」としないのは面倒くさいのなにものでもない。

3)薬剤の新鮮味がない
臨床的興味がわかない。多くは既に使い古された薬であり、安心して投与できるが臨床的なおもしろみがなく、あえて使ってみようと思わない。例えば糖尿病や高血圧などの薬は日進月歩新薬が目白押しである。開業医といえど臨床的興味をそそられる。

4)ジェネリックに対する偏見
ジェネリックは品質・効果が劣る。頭から否定している医師が多い。インターネット上でジェネリック医薬品の問題点といった記事を見かける。改善提案ならまだしも「ここが問題だ!だから使えない!」と指摘する記事が多い。

5)有形無形の援助が頼みづらい
業界にいた人間でないと分からないことであると思うが、PJの経験からすれば新薬開発における臨床研究や治験などで世話になることが多い分、合法的な援助は避けて通れず、それを期待する医師は新薬メーカーを大事にする。ゾロでもなくはないが、規模は桁外れだ。

6)医師のプライドが許さない
一昔前までジェネリックはゾロ品と呼ばれていた。模倣品というイメージが強く、医師のプライドが許さないという医師も多い。頭から粗悪品という概念が植え付けられているから始末に悪い。日本の医療制度を支えているという自負心が足りない。

7)回りまわって自分たちの収入減になる
薬も技術料も引き下げられる一方の現状に危機感を抱いている。八方塞がりの中、ジェネリック普及に加担する気はさらさらない。ましてや引き下げの片棒を担ぐ気には到底なれない。回りまわって自分たちの収入減につながるからだ。

■医師の技術料を思い切って引き上げる
みてきたように医師は既に薬価差益では儲からないことを知っている。国は診療報酬を包括的に下げようと考えており、その第一標的として薬に絞りその上技術料も押さえ込もうとしている節がある。医師にとって将来的に収入が先細りすることを感じとっているのだ。厚労省は技術料の上乗せを図り、特に勤務医を厚遇するとしていたが、蓋をあけてみれば2010年度の診療報酬は1.19%の引き上げで決着した。

薬価を1.36%引き下げ、技術料などの本体を1.55%上げるというものだ。10年ぶりの診療報酬引き上げで医師は満足かと言えば、日歯はほくほく、日医は憤慨という構図となった。歯科は2.09%の大幅増に対し、開業医が外来診療で受け取る報酬の引き上げ幅はわずか0.31%とされたからだ。

医師たちのいら立ちは頂点に達している。ジェネリックを使っても自分たちにとって何の足しにならない上に収入の伸びも期待できないとなれば、国がどんなに騒ごうが締め付けようが、わざわざジェネリックを使うことはない。このままなら新薬メーカーの信奉者は減ることはない。先進諸国に比べて医師の技術料が低いことも遠因にある。

医師は常々、技術料の低さに憤慨し抵抗しているのであり、薬価がどうなろうとあまり大きな問題と思っていない。ジェネリックの普及率が50%になった場合の薬剤費の占める割合と技術料を数%引き上げた場合との収支バランスを計算して、この際技術料を思い切って引き上げてはどうだろうか。もちろん総額として医療費の低減につながる範囲内におさめなければならないことは言うまでもない。ちなみに数量シェアで30%になれば、年間1兆円以上の薬剤費の抑制が図れると試算されている。仮に今回技術料を引き上げたとしても、未来永劫その状態が続けられるとは限らない。その時々によって見直しが必要であることは言を待たない。

これくらい思い切った改革を行わない限り、ジェネリックの普及率向上にはつながらないと思われる。政治もチェンジした今、大胆な発想転換が必要だ。【了】

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