PJ: 宮本 聰
高齢者雇用・エイジレス社会はいつ実現するのだろうか
2009年12月07日 08:10 JST
高齢者は枯落ち葉なのだろうか。道端の落ち葉と同じとすればこれほど惨めなものはない(撮影:宮本聰 横浜市内にて) 
【PJニュース 2009年12月7日】高齢者の就職は極めて厳しいのが現実だ。特に55歳から65歳の方にとっては地獄の日々だ。折りも折、独立行政法人高齢・障害者雇用機構主催の「高齢者雇用フェスタ2009」が去る10月1日(木)、東京ドームシティ・プリズムホール(東京水道橋)で開催された。
定年引上げや継続雇用の導入などにより、平成22年度をめどに希望者全員が65歳まで働ける企業の割合を50%、70歳まで働ける企業の割合を20%にしようという壮大な目標を立て活動を展開している、いわばエイジレスの実現である。
席上、平成21年度高齢者雇用コンテスト表彰があり、高齢者の能力と意欲を活用して働きやすい職場づくりの実践を高く評価され、1)有限会社湯元榊原館(最優秀賞)、2)近江ニスコ工業株式会社(優秀賞)、3)中村整形外科医院(優秀賞)、4)株式会社キデン(特別賞)、5)株式会社虎屋本舗が厚生労働大臣表彰を受けた。高齢者の積極雇用を実践している数少ない企業といえるだろう。
【形式的な定年年齢引き上げ】
実態はまだまだかけ離れたものでしかない。定年制の企業の取り組みをみると、確かに大企業を中心に定年年齢の引き上げが行われている。高年齢者雇用安定法・雇用延長制度導入の義務化によって、平成22年4月から?定年年齢引き上げ?継続雇用制度(再雇用含む)?定年制度の廃止のいずれかにより定年を64歳にしなければならないからだ。更に4年後の平成25年4月からは65歳までとすることが義務付けられている。65歳定年制の到来である。
【再雇用制度ありはくせもの】
企業が定年延長に前向きであることは事実だが、「定年60歳、再雇用65歳」とする企業がほとんどで、この場合定年はあくまでも60歳であり、いったん定年退職した後に再雇用する制度があるというだけで、定年退職者全員が再雇用されるわけではない。定年退職者の20〜30%位の人が嘱託や契約社員として継続雇用されているのが現実だ。サラリーマンの多くの人が依然60歳を機に会社を離れている。
【中小企業ではまだこれから】
平成20年度中小企業労働事情失態調査(全国中小企業団体中央会)によれば、定年年齢:60歳(63.0%)、65歳以上(14.7%)、定年なし(17.7%)で、中小企業の6割以上が定年60歳のままであり、法令により再雇用制度で63歳まで雇用するとしているに過ぎない。継続雇用制度の有無:再雇用制度のみ(45.7%)、勤務延長制度のみ(12.4%)、両方を導入(14.3%)、なし(17.6%)と中小企業では再雇用制度すら浸透していない。なお勤務延長とは定年後退職することなく所定年齢まで働ける(但し給与条件は低下することが多い)もので、再雇用制度とは違うことに注意しなければいけない。
【厳しい現実に戸惑う高齢者】
現在の雇用情勢が就職難に拍車をかけている。有効求人倍率が0.4を切る勢いであり、55歳以上の就職は容易ではない。買い手市場となった今、企業側のターゲットエイジはどんどん下がる一方で、中でも情報処理技術者(SE)などは30歳台でないと書類選考で落とされてしまう。60歳以上となると悲惨で、よほどのキャリアか資格がないと蚊帳の外に置かれる。高齢者の就職活動期間がどんどん延びている。活動すること1年でも就職できない人もざらだ。65歳以上は生産人口ではないと思っている企業がほとんどで、国の施策とは裏腹に、高齢者はデフレのマイナススパイラルによって奈落の底に向かっている。日本でいつエイジレスは実現するのだろうか。【了】
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