PJ: 宮本 聰
抗がん剤の治験って知ってる? がん患者の参加なしに新薬は生まれない!
2009年08月03日 06:21 JST
講演会の行われた癌研付属有明病院、120名ほどが熱心に聞きいった。(撮影:宮本聰 8月1日) 
【PJニュース 2009年8月3日】「治験」は多くの人にとってなじみの薄い言葉かもしれない。がん患者の参加なくして新薬は生まれないことをご存じだろうか。
治験という言葉は理解していても、なんとなくうさんくさいと思われているのではないだろうか。だが、がん患者にとっては「治験」こそが未来を切り開く大きな武器であり生命線なのだ。
薬は製品化される前に治験という作業を行い、医療用医薬品としての効能効果や副作用を検証し、規格(新GCP)に適合することが確認されて始めて正式な薬として認められ、薬価収載される。この承認前のさまざまな準備段階を治験と言う。
年間死亡者数約100万人のうち、がんで亡くなる人が毎年32万人(2004年)もいる。外科的手術、薬物療法(化学療法)、放射線治療がよく知られているがいずれも単体で行うものではなく、3つの治療法を組み合わせて行うのが普通である。
中でも化学療法を行う場合、標準治療を施しても難しい患者に対して残る手段は未承認薬でしかない。薬価収載されない限り、多くは自己負担となり家計を圧迫、苦しんでいる患者や家族がたくさんいる。
新たな薬が世に出るまで「治験」という手順を踏むことになる。
8月1日(土)、癌研有明病院吉田記念講堂で癌研究会企画部による「治験公開講座〜治験ってなに?聞いてみたい!抗がん剤の治験のお話〜」が開催された。
臨床治験ってなに?
国立がんセンター 高島淳生氏は、臨床治験とは論理的・科学的に正しい方法を用いた評価をすることだとした上で、「現在の患者さんと将来の患者さんに対して最適な治療法を明らかにすることを目的とした計画的実験」であると話された。つまり治験とは、治療中の方はもちろんのこと、今後新たに罹患する人のためにも役立つものであり、医療の進歩には必要不可欠なことであると述べている。
抗がん剤の第1相臨床試験は、一般薬の試験が健常人を対象としているのとは違い、がんの患者さんを対象として行われる。抗がん剤は細胞毒性が強く、DNAなどに付加逆のダメージを残す可能性があり、健常人にはリスクが高すぎるためだ。
治療の選択肢を広げる治験
新薬開発センターの伊藤良則氏は、治験は治療の選択肢を広げる手段だと述べている。
1)がん治療は限られた数しかない
2)現在の治療の進歩は治験の積み重ねから得られている
3)治験で効果が得られた人は多くいる
等とし、標準治療終了後の積極的な治験参加のメリットを強調した。
患者の参加なしに新薬は生まれない
残念ながらがんを完治する薬はいまだない。生存率がどれくらい伸びたとか、がん細胞に顕著な効き目が認められるとかの範囲でしかない。しかし、治験の積み重ねがあってこそ新薬が生み出され、がんの根絶に向かうのだと考えれば、治験への積極的参加がいかに重要であるかが分かる。
だが、未承認薬は必ずといっていい程、強烈な副作用を伴うことが多い。もしかすると命を落とすかもしれない。それだけのリスクを侵しても治験に取り組んでいる人もいる。自らが実験台となって未来の新薬誕生に託す気持ちが心の支えであろう。
繰り返すが、がん患者の参加者がなければ新薬誕生は期待できない。私たちは多くのがん患者の協力があってこそ新薬の恩恵にあずかっていることを肝に銘じたい。【了】
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