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PJ: 藤倉 善郎

「勝訴でも喜べない」と被害者=自己啓発セミナーの児童虐待問題訴訟に判決
2009年10月28日 08:17 JST


勝訴報告をする弁護士と被害者ら(撮影:藤倉善郎、10月27日)勝訴報告をする弁護士と被害者ら(撮影:藤倉善郎、10月27日) 

【PJニュース 2009年10月28日】X JAPANのTOSHIが心酔する自己啓発セミナー「ホームオブハート(HOH)」を巡る訴訟で、またHOH側敗訴の判決が出た。HOHメンバーである親子3組(計8人)が元メンバーである被害者とその代理人弁護士らに対して、精神的苦痛を理由に慰謝料計1億7000万円を求めた裁判で10月27日、東京地裁は親子らの請求を全面的に棄却する判決を言い渡した。判決言い渡しの場に、親子側は弁護士すらも出席しなかった。

この裁判は、2004年に発覚したHOHでの「児童虐待問題」をめぐるもの。当時、栃木県内にあるHOH関連施設内で、メンバーの子どもたちが就学年齢であるにもかかわらず学校に通わされず、また幼児が段ボール箱に入れられているといった問題が発覚。児童相談所が立ち入り調査を行い、5人の子どもを保護した。これに関して、当時保護された子ども5人とその保護者3名は、弁護士2人とHOH被害者2人らが共謀して児童相談所に虚偽の通告を行って子どもらを「監禁」させたと主張し慰謝料を請求していた。

児童相談所の行為を「監禁」だというのであれば、原告らは弁護士やHOH被害者ではなく児童相談所を訴えるのが筋だろう。また、児童相談所はHOHの子どもたちが「不適切な養育環境にあった」と判断し、いまだに児童福祉司による親子への指導措置を継続している。であれば、弁護士が虚偽の通告をしたわけではないことになる。

しかし判決は、もっと単純な理由で原告らの請求を棄却した。その理由とは、すでに時効だから。判決後の記者会見で、被告の一人である紀藤正樹弁護士は、こう語った。

「私は児童相談所へ通告したつもりはなく、『こういう状態の子どもたちがいて心配なので、人権救済の申し立てをする予定です。その後バタバタするかもしれないので、事前にご連絡します』と連絡したところ児童相談所の方が通告と受け取って、翌日、児童5人を保護しました。去年の12月に提訴されましたが、子どもが保護されたのは2004年4月だったため、裁判所は『3年間を過ぎているので時効である』と判断しました。いま継続しているTOSHI本人やHOH等が提訴してきている事件に(HOHをめぐる裁判の)焦点は移っていくと思います。こちらは時効とは関係なく(HOH問題の)中身に踏み込んだ訴訟です」

HOH問題をめぐっては、元メンバーである被害者がTOSHIを含めたHOH関係者を提訴した訴訟が4件(うち1件は高裁で被害者側勝訴、HOH側が上告中)、HOH側が被害者側を「名誉棄損だ」として訴えている訴訟が3件、被害者側がHOH側を「名誉棄損だ」として訴えている訴訟が1件、係争中だ。今回判決が出た訴訟を除いても、のべ8件にのぼる。中には、TOSHI個人が被告となっている消費者被害訴訟もある。

「加害者に立っている人間(TOSHIら)が、被害者の言い分をすべてデッチアゲだとかウソだと言ったり、被害者の性格が異常だということを言うなど、徹底して被害者の人格を否定する路線をとっている」(紀藤弁護士)

先日、記者が足を運んだコンサートでも、TOSHIは来場者に向かって、自らやHOHに対する批判を「デタラメ」と言い放っていた(X JAPAN・TOSHI出演のカルトコンサートに行ってみた参照)。同じく被告の一人、山口貴士弁護士は、今回の訴訟を「追及行動をけん制するためのいやがらせ目的だと考えている」とした。

「HOH側は過去、私たちについて日弁連に懲戒請求を行っており、その際の主張と今回の訴訟での主張はかなり共通しています。彼らはその時点で訴訟を起こすこともできたはずなのに、時効が過ぎるまで放置してから提訴してきた。私たち弁護士が担当するほかの事件が手薄になることを期待したのではないか。このような方法で被害者救済を妨げるというのは、今回の訴訟は弁護士への業務妨害であり、HOH被害者に対する恫喝だと考えています」(山口弁護士)

勝訴したにも関わらず、被告たちには喜びの表情がない。被告人のひとりであるHOH被害者は「勝ったら嬉しいはずなのに、今回はつらい訴訟だった」と涙を流した。

「(子どもを原告とする今回のような訴訟は)本当なら周囲の大人が止めるべきものなのに、HOH側の弁護士も子どもの親たちも、一緒になって訴訟をしている。(HOHの実質的指導者である)MASAYAにもTOSHIにも、こんなことをしても社会に受け入れられるわけがないことに早く気づいて、やめてほしいと強く願います」

被害者たちはHOH内部の子どもたちを児童虐待から救うために行動したのに、その子どもたちから提訴されてしまったのである。もう一人の被告である被害者は、涙でほとんど言葉が出ないほどだった。

「私自身、HOHに入ったことで自分も子どもも傷つけてしまった。なのに、(HOH側は)まだ残っている子どもを盾にして……本当に切ない気持ちでいっぱいです。いま願っているのは、その子どもたちが、私たちのような被害者を出す側になってほしくないということです」

11月20日、TOSHIも被告になっている消費者被害訴訟の判決が東京地裁で言い渡される(526法廷、午後1時10分から)。また、2004年に「児童虐待問題」を報じた日本テレビをHOH側が提訴している訴訟では、11月16日にTOSHI自身が証人として東京地裁に出廷する予定となっている(526号法廷、午後1時30分から)。【了】

■関連情報
ホームオブハートとToshi問題を考える会
やや日刊カルト新聞

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