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PJ: 藤倉 善郎

新聞はみんな腰抜け=幸福実現党の選挙戦2009(4)
2009年09月17日 08:42 JST


投開票日翌日の会見を取材しに来たメディアは、ほんのわずかだった(撮影:藤倉善郎、8月31日) 

【PJニュース 2009年09月17日】(3)からのつづき。今回の衆院選に際して、新聞の多くは世論調査結果などで幸福実現党を「諸派」と表記し、実質的に無視を決め込んだ。しかしあまりに無視しすぎて、有権者に十分な情報を提示することができなかった。幸福の科学の過去を紹介したり、政教分離原則にからむ議論を提起することもしなかったのである。

9月12日現在、全国紙(日経を除く)・地方紙39紙の記事データベースで「幸福実現党」を検索すると、5586件がヒットする。「幸福実現党 AND 幸福の科学」では1152件。全体の2割程度だ。「幸福実現党 AND 政教分離」では、なんとたった15件。それも大半は「宗教の政治参加は政教分離の原則に反しない」とする候補者のコメントを紹介するだけで、政教分離問題を提起する記事は、共同通信が配信した1本だけ。

6月9日下野新聞<宗教掲げ「幸福実現党」立党/警戒、懸念そして静観/政教分離の論議再燃も>(※同日の熊本日日新聞、沖縄タイムス、静岡新聞にも掲載)

8月6日の朝日新聞には、かつてオウム真理教をヨイショした宗教研究者の島田裕巳氏が、公明・幸福両党の選挙について評論を寄せた。しかし、幸福実現党の政教分離問題を指摘することはなく、そればかりか公明党に政教分離問題がないとする内容だった。

幸福実現党結党以降、幸福の科学による「フライデー事件」を紹介した新聞もゼロだ。雑誌でさえ、「講談社に対する抗議活動」という表現で紹介するにとどまるケースが目立った。

1991年、週刊誌『フライデー』による幸福の科学報道に抗議して、信者らが発行元の講談社に乗り込み、ハンドマイクで「フライデー廃刊!」「社長を出せ!」などとがなりたてた。さらに、フライデー編集部はもちろん別の雑誌編集部に対して抗議の電話やFAXを送りつづけた。「(マンガ誌の)少年マガジン編集部まで同じ被害にあった」(講談社関係者)ほどで、講談社の業務を全社的に麻痺(まひ)させた。日刊ゲンダイも、講談社の系列会社であることを理由に同様の被害を受けた。日刊ゲンダイ関係者が当時をふりかえる。

「FAXがエンドレスで送られてきて電話も鳴りっぱなし。夜中でも受話器を取ればすぐ幸福の科学の信者とおしゃべりできた。まるでテレクラだよ。ゲンダイが発行されていない四国の山奥から電話してきてる信者までいて、なんでそんなことをするのか尋ねても『本部が、本部が』しか言わないんだ。え? 『あの事件を忘れない』みたいなコメントが欲しい? 冗談じゃないよ。二度と思い出したくない」

全国では、7地裁で信者約3000人が、講談社を相手取って集団訴訟を起こし、賠償請求額の合計は約30億円にものぼった。1993年に東京地裁で講談社勝訴の判決が出ると、幸福の科学は、講談社による勝訴会見の内容が名誉毀損だとして再び提訴した。

教団が原告となった訴訟では、100万円、200万円の支払いを講談社に命じる判決が2件確定したが、信者が原告となった訴訟はほぼ全敗。逆に業務妨害行為について講談社から提訴されて敗訴(120万円の賠償)。全体的には敗北に近い結果となったが、執拗(しつよう)な業務妨害行為や地方都市での同時多発的提訴、常軌を逸した賠償請求額は、メディアを萎縮(いしゅく)させるには十分だった。その後、幸福の科学への批判報道はほとんどなくなってしまった。

その幸福の科学が今回の衆院選で政権奪取を標榜したのだから、本来であればメディアがまず問題意識を発揮すべきだった。幸福実現党や幸福の科学を批判しないまでも、幸福の科学に関する事実を有権者に伝えるだけでよかった。あとは有権者が判断しただろう。しかし新聞は、その程度のことすらしなかったのである。選挙後、記者は知人からこんな話を聞いた。

「実は、うちの家族は、幸福実現党の母体が幸福の科学だってことを知らなかったんだよ。異様な数のポスターを見て、不穏な空気だけは感じ取っていたみたいなんだけど」

新聞各紙は選挙後、公明党が与党の中で権力を振るうことができなくなり、幸福実現党が来年の参院選への挑戦を表明している中にあってもなお、“宗教政党”にかんする検証を行っていない。投開票日翌日、幸福実現党の会見を取材しに来たメディアは、ほんの数社。しかも新聞記者からの質問は、「来年の参院選にも出るのか」「大川総裁は選挙結果をどう捉(とら)えているのか」の2点だけだった。【了】

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