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PJ: 藤倉 善郎

会場で偽グッズを売る中国美術商=「聖地チベット」展にチベット関連団体が抗議書(下)
2009年08月11日 09:00 JST


上3枚は黄山美術社のタルチョ。下の左右は、北海道立近代美術館の常設売店で購入したもの。下の中央は会場とは別のチベット人が経営する店で購入したもの。(撮影:藤倉善郎) 

【PJニュース 2009年8月11日】(中)からのつづき。東京・上野の森美術館に対して「聖地チベット ポタラ宮と天空の至宝」展に抗議する国際連盟(IAATE)が抗議を申し入れている。この展示はすでに九州・北海道で開催されているが、実は、中国美術商が同展の会場で出店している売店で、ニセモノのチベットグッズが売られていた。

現在、北海道立近代美術館で開催中の同展の会場では、東京都内に本社をおく株式会社黄山美術社(代表者は中国人)が特設の売店を開き、土産物を売っている。売り場担当者によれば、日本での「聖地チベット」展の全会場で出店するのだという。mixiのチベット問題関連コミュニティに参加する女性は、同社が九州国立博物館で出店していた売店で、店員が客に「“中華思想”たっぷり」で土産品を勧めていたことに不快感を抱いたという。

「ミニチュアの仏像を売っていた中国人店員が客に『素晴らしい仏像だったでしょう?もともと中国が作ってチベットのお寺に奉納してたものですからね、素晴らしいのは当たり前なんです』と、目の前の客が入れ替わるごとに自慢げに話していました」

仏像、開運グッズ、アクセサリー、曼陀羅のジグゾーパズル、書籍(当然、ダライ・ラマ14世関連の本はない)などがワゴンセールよろしく並べられ、そこにまじって、なぜかチベットと関係ない三国志の武将・関羽の像も。チベットの経文などを印字した祈祷旗(タルチョ・1枚370円)もあったが、この図柄がまたひどい。いびつな虎や雪獅子、崩れた顔の仏様……。素人目にも、その粗悪ぶりは明らかだ(写真参照)。

買って帰って友人に見せると、「蛭子(能収)さんのマンガみたいだな!」と笑われた。記者の目には「じみへん」(中崎タツヤ作)にも見える。東京に戻って、在日チベット人に見せてみた。

「完全なニセモノですね。仏様の顔もひどいし、お経の文字の書き方も間違っています。もしこれをチベット人が作ったら、宗教上の罪にあたる。でも、中国人はチベット仏教なんか信じてないから、罪じゃないのかな」(チベット人)

そう言って彼は、あきらめたように苦笑した。記者は、黄山美術社に電話でこのことを伝えてみた。

「そう言われても、うちではちゃんと中国から仕入れているんですが」

─そのチベット人は、ニセモノだという根拠も説明してくれました。

「そもそも、そのチベット人、本当に(タルチョのことを)わかってるんですか?」

─そりゃ、チベット人ですからねえ。でも、一方の言い分だけでニセモノと決めつけるのは問題があるので、御社の説明をお聞きしたくてお電話したんです。

「折り返しご連絡します」

すぐに、店舗担当者から電話がかかってきた。

「(店では)お客様にきちんとご説明していなくて申し訳なかったのですが、そのタルチョはネパールから仕入れたレプリカの記念品で、飽くまでもお土産品として販売しているものです」(担当者)

会場には、そのような説明は一切ない。事実上、ニセモノと知ってそ知らぬ顔で売っているのと同じだ。

同じ売店で売られていた別のデザインのタルチョについては、チベット人も「これはまだマシだね」と言っていた。売店の品全てが、完全な粗悪品というわけではない。記者は昨年、チベットのラサで「政府指定の土産店」(ガイド談)の中国人店員が「セラ寺(ラサの有名な寺院)のお坊さんが書いたもの」だとウソをついて、粗悪な仏画を売りつけている場に遭遇した。これも実際に買って帰って在日チベット人に見せると案の定、「あはは! 仏様の鼻がこんなに長い! ニセモノですよ」(チベット人)。これに比べれば、黄山美術社の売店は、ずいぶんマシかもしれない。

しかしここは中国ではない。日本の公立美術館での「聖地チベット」展である。チベット人を苦笑いさせるほどの粗悪な「レプリカ」を売るのは、チベット文化ばかりか博物館・美術館や来場者をもナメているのではないか。黄山美術社の特設売店とは別に美術館による常設売店もあり、こちらにはインドに亡命したチベット人が実際に使っているタルチョが売られていた(亡命チベット人が経営する業者が納入)。審美眼の差か、良心の違いか。

「聖地チベット」展にはチベットの現代史も現状も展示されていない。しかし会場を出て土産物の売店を注意深くのぞけば、そこにはチベットを食い物にする中国ビジネスの片鱗(へんりん)が生のまま展示されている。【了】

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