PJ: 藤倉 善郎
京都大学に立てこもる「くびくびカフェ」の懲りない面々(上)
2009年07月03日 05:42 JST
京大時計台前のクスノキ下に、何やら不思議なカフェが(撮影:藤倉善郎、6月25日)内で 
【PJニュース 2009年7月3日】京都大学の正門を入ってすぐ。同学のシンボルである時計台前のクスノキの下に、「ストライキ中」などと書かれた立て看板と小屋がある。京都大学による非常勤職員のクビ切りに抗議する元非常勤職員が4カ月以上もここに立てこもり、カフェを開いているのだ。その名も「くびくびカフェ」。ふざけているのかマジメなのか。関係者に話を聞いた。
立てこもっているのは、京大非常勤職員の労働組合「ユニオンエクスタシー」の小川恭平さん(39歳)と井上昌哉さん(37歳)。井上さんによると、京大は2005年に独立行政法人化を機に就業規約を改定し、非常勤職員の契約期間の上限を5年と定めたため、大量の「雇い止め」が発生することになった。新聞報道よると京都大学には2600人の非常勤職員がおり、うち就業規約改定後に採用され2010年度に「雇い止め」対象となる非常勤職員は1300人にものぼる。
これに抗議した2人は今年2月、時計台前に簡易テントを設置して占拠。「首切り職員村」と名乗ってストライキに入った。大学当局の強制撤去にあい、再建や補強を繰り返しながら、「くびきりアイランド」という名称を経て現在に至る。
「現在のくびくびカフェは第三形態です」と井上さんが誇らしげに語る小屋は、鉄パイプの柱にビニールの屋根と壁。内部にはコーヒー用具や衣類のほか、パソコンやAVコンポも。電気は、近くの大学施設から引いている。
「アパートを引き払って、完全にここに住んでいます。最近、毎日新聞の無料のお試し購読を始めたんですよ。こんな小屋に、ちゃんと新聞が届くんです。いろんな人が食べ物などをカンパしてくれるので、使うお金は銭湯代くらい。こんなんで生きていけちゃうってのも、どうかと思うんですけどね」(井上さん)
井上さんはすでに解雇されたそうだ。非常勤職員時代は、時給制である上に1日6時間労働であるため、月収約11万円という薄給だったという。
「非常勤職員は、昔は教授や正規職員の妻などがパート感覚で従事するケースが多かったようです。それがやがて、これをメインの職業にする人々が増えてきた。私の周囲には、ほかのバイトをかけもちして食いついないでいる非常勤職員も多い」(井上さん)
どうやら「官製ワーキングプア」問題でもあるようだ。しかし、「くびくびカフェ」や「エクスタシー」というネーミングは、問題の深刻さとは裏腹にシャレっ気を感じる。カフェの前には、「首」「くび」の文字や首だけになった魚の絵が描かれた板が立てられ、板の穴から顔を出して記念撮影できるようになっている。小屋のそばにマグロの生首が置かれ、異臭を放っている。「くび」という言葉に引っ掛けて飾っているのだそうだ。
「以前、ここでドラム缶風呂を作って入ったりもしたんですよ」(井上さん)
「首切り職員村 スト3・4日目 Part 2 ドラム缶風呂編」と題する映像を見せられた。ちょうど京大の入試の日のようだ。井上さんの相棒である小川さんがドラム缶風呂に入っている。それを台車に乗せて仲間が移動させながら、全裸の小川さんが受験生を追い回す。そして絶叫。
「京大は〜!受験生を全員合格させろ〜!そして〜!ワタシのクビを切るな〜!」
映像では、大学職員が「やってええことと悪いことがあるやろ」と止めに入るが、小川さんはお構いなし。かけつけた警察官は半笑いで遠巻きに見ている。ムチャクチャだ。
「小川さんは、京大では伝説的な人。学生時代、京大構内に小屋を建ててラブホテル『ジュテーム』を開いたり、京大の建物を1つまるごと占拠してバーを開いたり。アートみたいな感覚でしょうか」(井上さん)
この「くびくびカフェ」、前身の「首切り職員村」が一般の新聞やテレビで取り上げられた。作家の雨宮処凛氏が現地を訪れ、週刊誌で紹介したこともある。しかしいずれも、労働問題として大マジメに報じるものが中心だ。次回、「くびくびカフェ」の正体に、さらに迫る。【つづく】
■関連情報
PJニュースは一般市民からパブリック・ジャーナリスト(PJ:市民記者)を募り、市民主体型のジャーナリズムを目指すパブリック・メディアです。身近な話題から政治論議までニュースやオピニオンを幅広く提供しています。
PJ募集中!みなさんもPJに登録して身の丈にあったニュースや多くの人に伝えたいオピニオンをパブリックに伝えてみませんか。
FXトレーディングシステムズはパブリック・ジャーナリズムの発展とPJ(市民記者)の活動を応援します。

