PJ: 藤倉 善郎
「カネよりケアを」・オウム真理教事件被害者の現状(上)
2009年06月29日 09:13 JST
給付金の案内パンフを手に会見する木村晋介弁護士(東京・千代田区で、6月24日・撮影:藤倉善郎) 
【PJ 2009年6月29日】死者8人、重軽傷者約600人を出した「松本サリン事件」から6月27日で15年を迎えた。これにせんだって24日、松本サリン事件や地下鉄サリン事件など、オウム真理教による一連のサリン事件事件の被害者の検診やケアを行ってきたNPO法人「リカバリー・サポート・センター」(R・S・C)が、東京都内で記者会見を行い、昨年末に施行された国の「オウム真理教犯罪被害者等給付金」制度の現状などについて報告した。
同給付金は地下鉄・松本両サリン事件のほか、サリンやVXガスを使用した殺人・殺人未遂事件等の被害者が対象。その数は、優に6000人を超える。死亡者に2000万円を給付するほか、障害が残った人に対してその度合いを1〜14級に分類し、1・2級に3000万円、1〜2級の一部と3級に2000万円、4〜14級に500万円を支給。死亡や後遺症以外の人については、通院日数などに応じて2段階に分け、100万円または10万円を支給する。
今年1月から各都道府県の警察署を窓口として給付金の申請受付がスタートしたが、24日に東京弁護士会館内で会見したR・S・C理事長の木村晋介弁護士は、申請をめぐって「大変大きな混乱が起こっている」と語った。
「給付金制度は、昨年、急に成立し、われわれも詳細を考えるひまもないまま申請がスタートしました。すると、当センターの電話が鳴りっぱなしで、1ヶ月間、通常業務に支障をきたすほど」(木村弁護士)
電話の内容は、申請に関する問い合わせや苦情だ。会見でR・S・C事務局専従者の山城洋子氏は、「半数以上が、警察の対応への不満を挙げていた」という。
「給付金制度は、認定の簡便化を重視した制度であるため、デリカシーを欠くことはなはだしい。公安委員会を認定機関として申請受付を都道府県警としているが、警察は犯罪捜査は得意なんでしょうけど、民事事件的な部分についてのセンスがない。こういう機関に被害者が申請に行っても、まるで事件の参考人を調べるかのような態度というか……。(警察官から)『3日しか病院に通っていないんだから、どうしようもない。10万円(の認定申請)でハンコを押せ』と言われ、被害者が『治療日数は少ないが、こういう後遺症があるんだ』と訴えても、『サリンとの関係がわからないじゃないか』と言われると、被害者をバックアップするものがない」(木村弁護士)
木村弁護士によると、「そもそも、後遺症の度合いが1〜3級(2000万円・3000万円)という存命中の被害者は、ほとんどいない」という。4〜14級後遺症と認定されれば500万円が給付されるが、いまも治療中で症状が固定でされていない被害者の場合、『通院中』と認定されてしまえば、100万円・10万円しか給付されない。
「このような状況で申請をしても、却下されてしまう可能性もある」(木村弁護士)と危惧(きぐ)したR・S・Cでは、申請受付がスタートした直後の1月末、サリン被害者たちに向けて「申請を控えるように」「(すでに申請した人は)いったん取り下げるように」との通知を出したという。【つづく】
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