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PJ: 藤倉 善郎

X JAPAN・TOSHI所属事務所、二審も敗訴=自己啓発セミナー被害訴訟
2009年05月29日 06:54 JST


勝訴判決を報告する原告側弁護団(5月28日、東京司法記者クラブで、撮影・藤倉善郎) 

人気バンド「X JAPAN」のヴォーカル・TOSHIが心酔する自己啓発セミナー「ホームオブハート」について、マインドコントロールによって多額の金銭を支払わされたとして、被害女性(41歳)が計約2100万円の損害賠償を求めていた民事訴訟で、東京高等裁判所(大谷禎男裁判長)は28日、ホームオブハートやTOSHIの所属事務所に対して一審判決の賠償額を約40万円増額し、計約1580万円の支払いを命じた。

 この訴訟では、ホームオブハートのほか、TOSHI自身が代表を務める音楽事務所「トシオフィス」、ホームオブハートの実質的リーダーであるMASAYAこと倉渕透氏など2法人・4個人が被告となっており、07年2月には東京地方裁判所がホームオブハート側に約1543万円の支払いを命じる判決を言い渡している。これを不服とした被告側が控訴していたが、今回、高裁判決は地裁判決を支持し、さらに賠償額を増額して約1580万円とした。

 ホームオブハート問題をめぐっては、計7件の民事訴訟が係争中で、うち2件ではTOSHI個人も被告になっている。今回、高裁判決が出た訴訟で被告になっているのはTOSHI個人ではなくトシオフィスで、一審はトシオフィスについて「被告ホームオブハートに隷属しながら、そのセミナー実施の一部に協力し、セミナーの共催者ともいうべき立場にあった」として、その責任を認定していた。ホームオブハート側は一連の訴訟を通じて「被害告発はデッチアゲ」「セミナー参加や商品購入は元セミナー生の意思」といった趣旨の主張を繰り返してきてきた。だが、一審に続いて二審でも、その主張は退けられた。

 判決後、原告側弁護団は東京司法記者クラブ内で会見を行い、『今回の判決により、ホームオブハート、トシオフィスらが多額の金銭被害、家族破壊等の人権侵害を起こしてきたことが、通常、事実審としては最終審である高等裁判所において明らかにされたことは、実態の解明と被害の救済のために大きな意味がある』との声明を発表した。

 さらに紀藤正樹弁護士は判決の内容について、以下のように説明した。

 「ほぼ全面勝訴判決。一審判決では“マインドコントロール”という評価的な言葉を多用していたが、二審ではその言葉を使わず、例えば『執拗(しつよう)かつ暴力的に不安感、恐怖感を煽(あお)る行為を繰り返し』や『畏怖(いふ)・誤信させられた心理状態』といった表現に変えて、具体的な事実認定を重視した記述となっています。そのため(相手側から)最高裁に上告されても、最高裁は事実審ではないため、逆転される可能性が極めて低い」

 また山口貴士弁護士は、「ホームオブハートでは、ヒーリングや癒やしなど耳当たりのいい言葉で人をおびき寄せて、少しずつセミナーの世界に引きずり込む。最終的に、ホームオブハートの言っていることは真実だと思い込まされている心理状態の人は、ちょっと罵倒(ばとう)されただけで、どんどんお金を支出せざるを得なくなる」として、あらためて、現在も活動を続けているホームオブハートの問題性をメディアに訴えた。

 ホームオブハートをめぐる各訴訟は、04年4月にトシオフィスを含めた関連施設から栃木県北児童相談所が児童5人を保護した“児童虐待事件”以降に相次いで起こされている。その中で、判決が出ているのは今回の訴訟だけ。5年目にしてようやく高裁での勝訴にこぎつけた原告の被害女性は、途中、涙ぐんで言葉を詰まらせながら、裁判をこう振り返った。

 「ホームオブハートにかかわったのはたった半年ですが、その間に全財産を奪われ家族もなくしました。(セミナーで)暴行を加えられたり、私が醜い人間であるかのように罵倒され、24時間、そんな中で過ごしてきました。(リーダーの)MASAYAだけが自分を救ってくれるのだと思い込んでいましたが、途中で『何かがおかしい』と気がつきました。私のような被害にあっている人が、世の中にたくさんいるかもしれません。どうかこの判決がみんなの力になって、被害に遭う人が少なくなっていくといいと思います」

 ホームオブハートとトシオフィスにコメントを求めたが、それぞれ「コメントはいたしません」と、全く同じ内容の返答だった。【了】

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