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PJ: 藤倉 善郎

新聞が報じない平和神軍の真実=ネットの市民言論が危ない!グロービート裁判の行方(2)
2009年02月16日 11:45 JST


グロービート社の研修施設「花月荘」は日本平和神軍の士官学校を兼ねる(過去の平和神軍サイトから) 

(1)の続き。1月30日、ラーメンチェーン「花月」の運営会社グロービート社と右翼カルト集団「日本平和神軍」との関係を指摘していたウェブサイト「平和神軍観察会」の運営者に対し、東京地裁が名誉毀損罪で罰金30万円の有罪判決を言い渡した。新聞報道では、この事件を「ネットでの中傷事件」としているものが目につく。「平和神軍観察会」は、本当に中傷サイトだったのだろうか。

 訴訟で問題とされたのは、都内の会社員・橋爪研吾被告が1999年頃から開設していた「平和神軍観察会 逝き逝きて平和神軍」。日本平和神軍に関する情報をまとめた批判サイトで、平和神軍総督を名乗る黒須英治氏(ペンネーム・中杉弘)の朝鮮人差別発言のほか、宗教法人売買や催眠術学校、学位販売商法の「イオンド大学」といった同氏の各ビジネスを批判していた。グロービート社もそのひとつだ。

 同サイトは基本的に平和神軍関連の情報サイトだった。黒須氏が関わる各種ビジネス・企業との関係を説明したり、黒須氏をはじめ平和審軍関係者がインターネットやパソコン通信で繰り広げてきた支離滅裂な言動や関連情報が、主な内容だ。

「君、発射することなかれセンズリ砲」

 ニフティサーブの掲示板で黒須氏が投稿した自作の詩(?)を引用しよう。公の場で記載するには不適切な表現が含まれるが、平和神軍の性格を説明するためなのでご容赦いただきたい。

  ああ偉大なる
  真の男児ここにあり

  ちじみたる
  金玉おおきなかにあり
  君のみたちし大金玉よ

  右も左も度肝をぬかれ
  人皆我が身の小金ながめて落涙す
  センズリ砲にひざまずき

  赤ふんに男も女も興奮し
  よだれを垂らし白液たらす

  君、発射することなかれセンズリ砲

 こんな投稿もあった。

  我ら(※在日朝鮮人・在日中国人:藤倉註)が恐れるのは恐るべき平和神軍の新兵器だ
  F16もイージス艦も恐くはないがこれは恐い
  白濁液をかけられたら日本人になってしまうのだ

 平和神軍観察会には黒須氏の説法テープの音声データも掲載されていた。そこに出てくる黒須氏の発言は、「新進党はユダヤの手先」「小沢一郎も山本五十六も南雲中将もフリーメーソン」「国際化と言ってるのはみんな朝鮮人!」「神戸の大地震ね、あれもそうだから、あれみそぎですよ。朝鮮人が多すぎた」等々の謀略史観発言や差別発言。ここでも黒須氏は「私も花月食品の会長として……」と、自らグロービート社との関連を語っている。

平和神軍や黒須氏に嘲笑される要素あり

 こうした言動を見れば、嘲笑するか不快に感じて目をそらす以外にないだろう。法廷でも、「センズリ砲」に関する黒須発言が音読され、「フリーメーソン」「朝鮮人」発言は説法テープが流された。記者は傍聴しながら笑いを堪えるのに必死だった。平和神軍観察会が揶揄や嘲笑のトーンをもったサイトだったことは事実だが、平和神軍や黒須氏の側に嘲笑されるだけの要素が実際にあるのだ。

 裁判のさなか、記者はグロービート社の研修施設「花月荘」(静岡県伊東市)に足を運び、宿泊した。旅館として一般開放されていたからだ。そこで管理人を務めていた人物は、平和神軍関連サイトにかつて「軍曹」として顔写真付きで掲載されていた人物だった。本人は記者に対して、「うちの会長が主催していた催眠術学校」(管理人談)にも参加していたとも語った。

 民事裁判は橋爪被告に損害賠償を命じる高裁判決が確定している。しかし、その後の刑事裁判の中で、グロービート社設立時から黒須英治氏が51%の株を所有し、同社は黒須氏に毎年数千万円という多額の報酬を支払っていたことなど、新事実も判明。地裁はグロービート社と平和神軍との組織としての一体性は否定したが、一定の関係性があったことは認めた。

 グロービート社は、ラーメンチェーン「花月」のオーナーを募集し全国展開している企業であり、かつてヤフージャパンと提携してネットを活用したメニュー開発キャンペーンも行った。一般の人が客として店を利用することはもちろん、一般の人がフランチャイズオーナーとして関わるケースもある。社員として就職する人もいるだろう。その企業のトップである会長の正体や、関連団体である右翼集団について明らかにしていた平和神軍観察会は、一般の人がこの企業や店舗に関わることの是非を検討する上で重要な情報源だった。

何の説明なく「中傷」呼ばわりする大新聞

 橋爪被告を有罪とした高裁判決の当日と翌日、新聞各紙はネット上でこのニュースを配信した。その中で読売・産経・日経は「中傷」という表現を用いた。おかしなことに、一審の無罪判決が出たときでさえ、読売・毎日・東京・産経は橋爪氏のサイトを「中傷」呼ばわりしている。

 おかしなものについてネット上で「おかしい」と書き、しかもそれが公共性をもつ情報だったのに、そのサイトの運営者が民事裁判で損害賠償を命じられ、刑事裁判の二審で有罪判決を受けた。そして主要な新聞の半数以上が、何の説明もなく橋爪被告のサイトを「中傷」呼ばわりしている。これがグロービート裁判である。【つづく】

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