PJ: 藤倉 善郎
偽装映画『純愛』、EXILE・ATSUSHI撤退後の皮算用(下)
2009年01月29日 08:40 JST
『純愛』上映館の前を通り過ぎるカップル(撮影:吉川忠行、2008年1月4日、札幌市内で) 
(中)からのつづき。芸能人や国会議員を巻き込みながら迷走を続ける偽装映画『純愛』。08年12月の会計報告では、今後について現実味のない壮大な観客動員を試算しているが、その利益配分に関する記述から、出資者をもないがしろにする彼らのカネ儲(もう)けの仕掛けが垣間(かいま)見える。
同報告書は、出資者との契約を清算する2012年までの損益シミュレーションを行い、その間に1億2900円から4億1150万円の興行売り上げを試算。日本での観客動員数を10万から30万人とし、それ以外にアジアや欧州など海外5地域の興行で合計1750万円から4400万円の売り上げを見込んでいる。EXILE・ATSUSHIを広告塔とした公開1年目の観客動員数がたった1万人強(興行期間計22週間)だったことを考えれば、あまりに現実味のない夢物語だ。
さらに、興行売り上げを3億円(経費1億円、利益2億円)と仮定した場合の利益配分シミュレーションも行っている。そこには、こう記されている。
「出資者に1億円配当するとすれば、同額の1億円を運営サイドへの配分、そして残り1億円が経費となります」
「弊社は、『純愛プロジェクト運営サイドの配分をケイズカンパニーと分け合う』こととします」
「弊社」とは『純愛』の配給・宣伝を担当する化粧品イベント会社のプロジェクトデザイン社のこと。代表の奥山省吾氏は、ケイズカンパニー代表・小林氏の事実上の夫である。仮に2億円もの興行利益があっても、出資者は出資総額1億円の元本を返してもらえるだけなのに、夫妻は会社名義で1億円を山分け。もし利益が1億円だった場合は、出資者は損をするのに奥山・小林夫妻の会社は5000万円儲かるという、なんともおかしな利益配分だ。
もともと匿名組合の営業者ケイズカンパニー社と出資者は、映画の制作・配給後の余剰金(出資金元本1億円を含む)を折半する内容の契約を結んでいる。つまり、映画で利益が出れば出資者が損をしても夫妻の会社は儲かるという不思議な利益配分は、契約書上は不当ではない。ただ単に『純愛』が最初からそういうビジネスモデルだったというだけのこと。しかし出資者たちは、夫妻が得をする構造だったことを理解していなかった節がある。夫妻と自己啓発セミナーで友情を分かち合ったはずの出資者の一人でさえ、夫妻をこう批判する。
「(今回の報告書で)もともと友人であり仲間だった投資家をないがしろにしていることが、ますますはっきりした。二人にとって、恵まれない(中国の)子供たちのためという“社会貢献”は、人やお金を集める方便にすぎなかった。宣伝目的のアドバルーンです。『手柄を立ててみんなからすごいと言われたい』というのが、二人の本心。それと、今回の(利益の)配分の件からして、彼らはお金に対する執着も強いみたいですね」
奥山氏はボランティアで『純愛』制作実行委員長を務めているとしているが、同氏のプロジェクトデザイン社はスタッフ報酬・事務所費用として『純愛』の予算から約780万円を受け取っている。その奥山氏に電話でコメントを求めたが、「お答えすることは何もありません」(奥山氏)と、そっけない。
収支報告書は、今後、札幌、首都圏、九州での上映の計画があるとし、教育機関、出版社、慈善団体などから支援表明を受けているとしている。記者の取材では、特に支援者が多い札幌で、地元の若手ミュージシャンやパフォーマーを宣伝に協力させたり新たな協賛企業を見つけたりする動きがあることもわかっている。彼らがEXILE・ATSUSHIの二の舞にならないことを祈るばかりだ。【了】
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【関連リンク】
映画『純愛』公式サイトhttp://jun-ai.jp/pc_index.html
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