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PJ: 藤倉 善郎

偽装映画『純愛』、EXILE・ATSUSHI撤退後の皮算用(中)
2009年01月28日 05:34 JST


主演女優・小林桂子氏(左)と制作実行委員長・奥山省吾氏(右)。(撮影:吉川忠行、2008年1月5日、札幌市内で) 

(上)からのつづき。2007年、収益の寄付先であるNPO法人が架空団体だったことがバレて、EXILE・ATSUSHIが主題歌や宣伝協力から“撤退”した偽装映画『純愛』。しかし『純愛』制作実行委員長の奥山省吾氏と事実上の妻で主演女優・小林桂子氏らは、協賛企業を騙して協賛金をせしめ、国会議員を巻き込むなどして迷走を続けた。その収支報告書が2008年12月、ようやく出資者に配られた。

『純愛』の制作と興行の資金は、株式会社ETLジャパンなどの自己啓発セミナー受講生からの出資金約1億円と、企業からの協賛金約4200万円。出資金の運用は「匿名組合」の形式をとっており、事業主体である営業者は、主演女優の小林氏が代表を務める有限会社ケイズカンパニーだ。作品の配給・宣伝は、奥山氏が代表を務める化粧品イベント会社の株式会社プロジェクトデザイン。

匿名組合の営業者はケイズカンパニーでありながら、収支報告書はプロジェクトデザイン・奥山氏の名前で作成されている。これによると『純愛』は、映画制作期間(2005〜07年)と配給期間の1年目(〜08年6月末)を通して資金1億4200万円を全て使い果たし、1090万円の赤字。経費の報告は大雑把で、たとえば制作期間に計4800万円も支出されている「中国撮影費(中国メディア)」も、約1000万円の「ギャランティ」も、誰に対する支払いなのかすら書かれていない。同様に明細不明の「中国前監督 支払い経費」(『純愛』は途中で監督が交代した)は約4600万円。この3項目だけで資金の8割にあたる1億1400万円が消えている。経費から除外されているものの約450万円の「領収書等の保存されていない制作経費」という名の“使途不明金”もあった。匿名組合の出資者の一人は、こう嘆く。

「私たちは、カネ儲けのためではなく、中国に学校を作るという慈善事業に賛同して出資した。だから配当にはこだわっていません。しかし『純愛』のNPO法人は架空だったし、カネの用途も不透明。奥山氏らに詳細な会計報告を求める出資者もいたのですが、今回の報告を見ても、カネの用途がさっぱりわからない。08年に中国の劇場265館で上映したと彼らは言っていますが、これについては収支はおろか具体的な上映館すら明かされていません」。

興行収益で中国に学校を作るとしていた『純愛』は、実際に小学校と幼稚園(併設)を建設している。しかし1億4200万円を使い切った上に1000万円以上の借金を抱え、小学校と幼稚園に投じた費用は約530万円。それでいて、モナコ国際映画祭でのたった1回の上映のために小林氏や奥山氏の渡航費として、学校建設費より多い約570万円を費やしている。映画など作らずに、集めたカネで直接学校を作った方がよかったのではないか。

もちろん、映画作品が社会的な啓発活動になるという考え方もある。しかし『純愛』は中国残留日本人婦人を描いた作品。主役が教師という設定だが、中国の教育問題とは何の関係もない内容だ(記者は取材過程で3回もこの作品を観た)。しかも中国の支援支援のために上映館に募金箱を置くでもなく、逆に札幌公開の際には、小林氏らが映画上映のための支援金を観客に呼びかける支離滅裂ぶり。

『純愛』は、いったい何をしたいのか。その答えが、収支報告書内の「今後の売上・損益シミュレーション」の中にあった。【つづく】

■関連情報
【関連リンク】
映画『純愛』公式サイトhttp://jun-ai.jp/pc_index.html
『純愛』が止まらない!!http://news.ohmynews.co.jp/news/20080128/20236
偽装映画『純愛』会計の裏事情http://news.ohmynews.co.jp/news/20080421/23745
私はコレで『純愛』をやめましたhttp://news.ohmynews.co.jp/news/20080421/23746

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