PJ: 藤倉 善郎
偽装映画『純愛』、EXILE・ATSUSHI撤退後の皮算用(上)
2009年01月27日 06:38 JST
『純愛』主演女優の小林桂子氏(提供:同製作実行委員会) 
2007年夏、東京・銀座のある映画館で『純愛』というタイトルの映画が公開された。第二次世界大戦直後の中国残留日本人婦人と中国人との「愛」を描いたもので、収益を中国の学校建設のために「NPO法人小林桂子基金」に寄付するとしていた。これに賛同した人気グループ「EXLILE」のヴォーカル・ATSUSHIがノーギャラで主題歌や予告編ナレーションを担当。一見、美談めいた映画だったが、劇場公開直後に寄付先のNPO法人が架空団体であることが発覚し、ATSUSHIは表面上“撤退”。主題歌も差し替えられてしまった。
しかし『純愛』制作実行委員長・奥山省吾氏や、事実上の妻で主演女優・小林桂子氏(推定44歳)は、その後も協賛企業や支援者を騙しながら、上映を継続。そして08年12月、奥山氏が『純愛』の出資者に配布した会計報告と今後の事業計画を配布。その報告書を、記者は独自に入手した。
報告書の内容に触れる前に、『純愛』について説明が必要だろう。小林氏の本業は東京・代官山にあるエステサロンの経営者で、女優として目立った実績はない。1999年、株式会社ETLジャパンが主催する自己啓発セミナーに奥山氏とともに関わっていたが、そこでセミナーの受講生たちに「1口100万円」で出資を呼びかけ、自らの主演映画を作り始める。かき集めた資金は約1億円。ほぼ全てが、自己啓発セミナー受講生・関係者からの出資だ。
小林氏の弟の知人だったATSUSHIも、ETLセミナーに勧誘され受講。『純愛』プロジェクトへと巻き込まれていった。ATSUSHIはETLの設立10周年パーティーで『純愛』主題歌などを熱唱し、小林氏とともに制作発表の記者会見にも登場。出資者の間では、ATSUSHIは『純愛』に1000万円ほど出資もしているとも言われている。
NPO法人の偽装に最初に気づいたのは、EXILEの所属事務所とレコード会社エイベックス。すぐにATSHUSI作曲の主題歌を引き上げ、作品のエンディングテーマが変更される。ところがその後も奥山氏らは協賛企業に対して、主題歌の変更は「使用許諾期間の終了のため」とウソをついて協賛金をせしめていた。同年12月、報道によって問題が公になると、「NPO法人化の手続きを依頼していた第三者による巧妙に偽装された詐欺行為」と主張し始め、刑事告訴を宣言。ところが「証拠が足りない」ことを理由に告訴を断念し、そのまま2008年に札幌と名古屋で2回ずつ興行を行っている。
08年3月には、山谷えりこ参議院議員の口利きで国会の映画議員連盟の上映会でも上映。当時、記者の取材に対して山谷議員の事務所は、山谷議員が議連に『純愛』を推薦したことを認めたが、「(『純愛』の)内部の事情は全く聞いていません」と回答した。一方、奥山氏は出資者に対して、山谷議員が事情を知った上で支援してくれていると説明。さらに奥山氏らは、複数の議員の名を挙げて“成果”をアピールしたが、劇場は閑古鳥が鳴きまくり。今後の興行の見通しも立っておらず、今回、出資者に配られた会計報告を見ても、出資者には配当どころか元本さえも返済できそうにない状況だ。
問題の概略を説明するだけで記事1本分になってしまうほどのムチャクチャぶりだが、次回、彼らの会計報告と事業展望をリポートしたい。【つづく】
■関連情報
【参考リンク】
映画『純愛』公式サイトhttp://jun-ai.jp/pc_index.html
チャリティー映画『純愛』のウソを暴く!(前編)http://news.ohmynews.co.jp/news/20071217/18601
チャリティー映画『純愛』のウソを暴く!(後編)http://news.ohmynews.co.jp/news/20071218/18641
『純愛』小林桂子氏に直撃で恐縮です(動画)http://news.ohmynews.co.jp/photo/20080107/19363
山谷えり子議員らが偽装映画『純愛』を支援http://news.ohmynews.co.jp/news/20080619/26551
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