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PJ: 重光 英一

「地方映画祭には旅の楽しみの本質みたいなところがある」、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭の澤田直矢氏(上)
2010年03月07日 07:22 JST


ゆうばり国際ファンタスティック映画祭の澤田直矢フェスティバルディレクター(撮影:重光英一、3月1日) 

【PJニュース 2010年3月7日】北海道夕張市で2月25日から開催されていた20回目の「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」が3月1日に閉幕した。来場者数は1万2223人と昨年比15.3%増となった。同映画祭は1990年に誕生し、国内有数の映画祭にまで成長したが、夕張市の財政破たんにより、いったん休止。その後、市民映画祭として2008年に復活し、今年は新生3年目だ。映画祭運営の舞台裏などについて、同映画祭の立役者、澤田直矢フェスティバルディレクターに話を伺った。

―今年の映画祭を振り返ってみて、いかがでしたか。
「今までに20回の映画祭をやってきましたが、映画祭初日にゲストを乗せた羽田発の飛行機の出発が濃霧のために大幅に遅れてしまい、新千歳空港から夕張までゲストを乗せて走るJRの歓迎列車を初めてキャンセルしました。それぞれの場所でスタンバイしていたスタッフは「この状況を楽しもう」みたいな感じで始まり、初日は非常に長く感じた1日でした」

「ただ、トラブルを何とかまとめてしまうという現場力など、うちのスタッフは優秀だなと改めて思い知らされました。これが今年の象徴的なできごとで、今までの19回のノウハウがいきなり試された年でした。実際、飛行機が飛ばないというケースをシミュレーションはしていましたが、その場その場の個人の責任と判断で、きちんと対応していたというのは非常に感動的でした」

「2日目からも小さなトラブルが無かったわけではないのですが、全体的に無事に終えることができました。中身についても、小栗旬さんや森繁久弥さん、ジョニー・トーさんなどというメインストリームからコアな部分まであり、間口の広い映画祭になりました。まさに映画は間口が広いということを象徴できたような気がします。今年の予算は約4300万円で、どうにか黒字は確保できる見込みです」

―今回の映画祭運営に当たって、困難なことなどはありましたか。
「まじめにやろうとしているとぶつかって当たり前じゃないですか。現場では当然激しい議論になるときもありますが、ある状況のなかでベストは何かというそれぞれの方法論が違ったりするだけであり、真剣勝負でやっていることの裏返しだと思います。運営に必要な人材は決まっているので、その質をどのようにしていくかとか、予算の資源配分をどうするかという問題はありましたが、今年はとにかく20回目を成立させることが主眼でした。逆に来年は何か変えようと思っています」

―この映画祭には多くのボランティアが参加されていますが、ボランティアのスタッフの方々を束ねていく秘訣にはどのようなものがあるのでしょうか。
「各パートのトップの力によります。ボランティアは全然足りません。ただ、頭数がいればいいということではなく、経験や本人の持っている資質みたいなものが重要になってきます。すべてプロを雇ってしまえという考え方もありますが、夕張でやると手作りにならざるを得ないというところもあります」

―ゆうばり映画祭が回を重ねて継続している理由というのはどのようなところにあると分析されていますか。
「夕張でやっているからゆうばり映画祭なんです。夕張のエッセンスみたいなものを狙って出している部分と、染み出てきてしまう部分とがあると思うのですが、その場所の力や住んでいる人たちのポテンシャルを夕張は出せているという評価を頂いていますので、そういうことなのではないでしょうか。匂ってくる体臭みたいなものであるとか、雰囲気だとか。山形国際ドキュメンタリー映画祭にしても、アジアフォーカス・福岡国際映画祭にしても、続いている映画祭はみんなそうだと思います。単なる映画好きだけでもだめですし、単に映画を町おこしに利用してやろうなんていうのは最もいけない考え方だと思います。そこのバランス感覚が必要なのではないでしょうか」

【つづく】

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