PJ: 高橋 清隆
構造改革に抗議の出馬を決めた元郵政官僚、稲村公望氏に聞く(中)
2009年08月08日 06:06 JST
稲村公望氏(撮影:高橋清隆、7月31日) 
【PJニュース 2009年8月8日】(上)からのつづき。
求められるインテリジェンスの強化と外交官の養成
-海外経験が豊富だが、そこから見える政策課題は。
「わたしは米国の大学院で学び、外交官として東南アジアに3年半いたこともある。意外に思われるかもしれないが、国民新党には外国通が多い。長谷川憲正氏はフィンランド大使を務めていたし、自見庄三郎氏はハーバード大学で研究員をしていた」
「日本の外交に評価すべき所はたくさんあるが、海外と比較して感じるのはインテリジェンス(諜報(ちょうほう)活動能力)が弱く、訓練が不足しているのではないか。昔の陸軍中野学校のような養成機関をつくり、佐藤優氏のような人材が活躍できる体制を整備する必要がある。母校のフレッチャースクールは、アメリカが経済的に苦しい時代に創立されているから、日本でもできないわけがない」
-対外交渉では、負けてばかりか。
「旧郵政省にいたとき、通信資材調達の交渉をやったことがある。ある種の出来レースのようなところはあるが、言われっぱなしではない。一つの例を挙げれば、機器の仕様書を英文で出荷できるよう求めてきた。わたしは粘った末に『あなた方の提案を受け入れる』と言ったら、相手はびっくりしていた。後で『わたしが勝利した。日本でこれを見て、誰が注文するか』とささやいたら、嫌な顔をしていた。日本製品が外国で売れているのは、その土地の言語で分かりやすく書いた仕様書を付けているからだ」
-ほかに武勇伝があったら。
「電波の権利をオークションに掛けようとの提案が外国から出され、マドリードで会議が持たれたことがある。AOLタイムワーナーの社長や、大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンを買ったフランスの会社の社長などが参加していた」
「わたしは『ノー』と言って、2時間半にわたる演説を続けた。弁士中止のヤジが飛んで、『あいつの原稿は際限がないから』と。オークションに国際的に反論したのが、国益を守ることになったと思う。世界的にも成功例はみあたらない。郵政民営化も同じことだろう。成功した例があるのかと言いたい」
-どうすればそのような官僚が育つか。
「官僚組織の人材養成は出世競争と関係ない所でやる必要がある。虚栄心や我欲ではなく、国民共通の利益のために働けるように。日本は金満大国だが、こうしたことにお金を使っていない。ヤルタ体制は崩れつつあり、自立・自尊の日本をつくることが、世界に貢献する。情報力を備えた、人材養成が基本である。 大来佐武郎(おおきた・さぶろう、所得倍増計画を策定した官僚で後に外相)先生を今でも尊敬している」
-国益が守られていないということか。
「象徴的なものの1つは、日本の自動車メーカーの駐在員の子供さんたち。州の学校では毎朝、外国国旗を前に忠誠を誓わせられている。日の丸も掲揚してほしいと思うが、ただ、あまり強く言うと偏狭になるから、気を付けないとけない。寛容の精神も持たないと」
「いいところは学んで入れて、充実させるのが日本のお国柄。郵便制度だって、19世紀末に欧州で勉強して来て入れたもの。大化の改新と同様、オリジナルでも何でもない」【つづく】
■稲村公望:1948年、鹿児島県大島郡天城町に生まれる。東京大学法学部を卒業し、1972年に旧郵政省入省。八女郵便局長や在タイ王国日本大使館一等書記官、総務省政策統括官などを歴任。郵政公社常務理事のとき民営化反対を貫き、2005年に退任。中央大学大学院公共政策研究科客員教授を務める傍ら、『月刊日本』や森田実ホームページに論説を掲載中。
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■関連情報
森田実HP「憂国の士の論説コーナー」
国民新党HP
高橋清隆の文書館
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