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PJ: 高橋 清隆

構造改革に抗議の出馬を決めた元郵政官僚、稲村公望氏に聞く(上)
2009年08月07日 14:22 JST


稲村公望氏(撮影:高橋清隆、7月31日) 

【PJニュース 2009年8月7日】 中央大学大学院客員教授の稲村公望氏(60)は7月、衆議院比例区東海ブロックから、国民新党の公認で立候補することを表明した。旧郵政省に入り、総務省政策統括官を務めた後、日本郵政公社常任理事として郵政民営化に反対し、退任を余儀なくしている。稲村氏に出馬の真意を聞いた。

市場原理主義の三大虚妄を正せ、潮目は変わった

-今回、立候補を決めた動機は。
「世界では国際金融資本がダボス会議などを通じて各国の政治を差配している。当時の竹中平蔵金融相と米通商代表部のゼーリック代表が17回も会っていたとされるが、会談の中身も公表されていない。これは今も大きな問題だ」

「わたしは反米ではない。米国では政権が変わり、政治の方向性としてはむしろオバマ新政権に賛成する部分が多い。日本は十数年にわたって『赤字だ』『赤字だ』と言って緊縮財政を続けて来た。一方で、海外資産を幾ら持っているのか。貧しい国を助けるならいいが、外国国債などを通じ勤労の成果を貢いできた」

「金融危機が起きたが、元本の10倍、100倍の投資を可能にするレバレッジは間違えている。ネズミ講は論理では成立しても、現実には成立しない。そのような政策には、ノーと言わなければならない」

-旧郵政省出身ということが、思いの根底にあるのか。
「マスコミの人によく『官僚上がり』と言われるが、これは侮辱だ。官僚であるほど中立的な立場を求めたし、私利私欲はない」

-出馬は市場原理主義への抗議か。
「市場原理主義に『ノー』との意思表示だ。日米構造協議を発端に要求された構造改革という蜃気楼(しんきろう)に対して。その意味でわたしはドン・キホーテのつもりだが、ただの抗議ではない。実際の政治過程に参加することで、ある種の主導権を握りたい。自分を疑い皮肉る余裕は持つようにしているが、構造改革への反対はあながち間違いではないと思う」

「郵政民営化、規制緩和、公共政策の削減という、市場原理主義の三大虚妄に対して、反旗を翻す官僚が出てくると思ってたが、ほとんどなかった。役人には生活がかかっており、『抵抗勢力』として黙って生き延びた人もいるかもしれないが、大体はしっぽを振った」

「政治家にも『市場原理主義と決別する』との発言もあったが、現実の政策となっていない」

-官僚を辞められた経緯を。
「郵政公社になったとき、『民営化等の見直しは当分の間行わない』と書いてあったから郵政公社に志願した。ところが、1年もたたない間に郵政民営化準備室がつくられ、職員を派遣することになった。わたしはこの人事を拒否し、はんこを押さなかった」

「その間、わたしは対日レポートや外国政府による郵政民営化に関する資料をつぶさに読んでいた。だから『改革』の背景は分かっていた」

-この外圧は、ずっと続きそうか
「アメリカで『チェンジ』があったせいか、圧力はもう感じない。一昨年、『月刊THEMIS(テーミス)』にマイケル・ムーア監督の映画『シッコ(SiCKO)』の評論を書いた。アメリカは公的な健康保険制度がなく、医療の質は世界で37位と書いたが、オバマ大統領は公的医療保険制度の導入を公約している。様変わりだ。昨年9月15日のリーマンショックで完全に潮目が変わった」

「わたしは反米を言う気はない。日本の市場原理主義の手先が問題なだけだ。『上げ潮派』は、暗礁に乗り上げたのだから、『引き潮派』と呼ぶべきだ」【つづく】

■関連情報
■稲村公望:1948年、鹿児島県大島郡天城町に生まれる。東京大学法学部を卒業し、1972年に旧郵政省入省。八女郵便局長や在タイ王国日本大使館一等書記官、総務省政策統括官などを歴任。郵政公社常務理事のとき民営化反対を貫き、2005年に退任。中央大学大学院公共政策研究科客員教授を務める傍ら、『月刊日本』や森田実ホームページに論説を掲載中。

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森田実HP「憂国の士の論説コーナー」
国民新党HP
高橋清隆の文書館

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