PJ: 高橋 清隆
知られざる職業人の世界(1) パーソナルスタイリスト(下)
2009年06月10日 05:13 JST

依頼者にあった色調も探る。洋服選びはその人の意図に合っていることを最優先する 
(上)からのつづき。三好さんがパーソナルスタイリストとして東京で事業を立ち上げたのは2002年。個人向けに服装を助言するプロは少なく、ネットで確認した限り大阪に1件、東京に男性スタイリストが1件と、地方在住ながら都内で買い物代行と買い物同行する人が1人見当たるだけだった。三好さんは昨年からもう2人のスタイリストを加え、会社としてスタイリングの相談を受ける。
三好さんの強みは、コーチングのスキルを持つこと。対話を通じて「なりたい自分」のイメージを明確にし、依頼者が持つ可能性や能力を引き出すファッションを提案している。スタイリストは、本人が独力で目標を達成できるよう支援する黒子と自認する。
彼女にとって、コーチのキャリアはスタイリストより長い。短大でファッションデザインを勉強した後、アパレル企業に就職した。デザイナーや店舗主任を歴任する中、個人的な相談を受けることが多く、心理的な側面に興味を抱いた。畑違いのコーチングの講座を受講し、2000年に(財)生涯学習開発認定の資格を取得。コーチの活動を始めた。
「コミュニケーションを通じ、相手が前に進めるのが素晴らしいことだと思いました」
コーチングの世界は多様で、特化したものが必要と感じ始めた。アパレル勤務との掛け持ちで2年たち、ファッション領域でアドバイスすることの重要性を痛感。パーソナルスタイリストになろうと決意した。
「専門家の押し付けでなく、相手の内面に光を当てることで、自分のよさを再発見することに意義を感じました。表情が輝き、仕事や婚活がうまくいったと聞くのが何よりの喜びです」
実際、仕事で成功した人や、結婚に至った依頼者が何人もいるとのこと。多くの要望に応え、婚活のためのコースを今年から開設した。
スタイリストのセンスから流行のコーディネートを提案されることが予想できるが、三好さんは本人の希望を優先する。職場や活動分野によってドレスコードがあり、普段着ていられることが重要だからだ。客観的な評価として賛成できない場合は、論理的に理由を説明して納得してもらう。
「見た目がますます重要な時代になっていると感じます。格差が広がり、スピードも増している中で、早い段階で信頼されるかどうかが大きな鍵を握っています」
三好さんによれば、球団買収をめぐるライブドアの堀江貴文前社長と楽天の三木谷浩史社長によるかつての争いも、服装が大きく左右したと分析する。
「カジュアルパンツにTシャツというスタイルも悪くはありませんが、地位の高い方々に説得力を持たなかったのは事実です。中身ではなく印象が影響したという、残念なことだと思います」
わたしも三好さんに背広を見繕ってもらった。ファッションに疎いわたしは、生地や縫製の善しあしはもちろん、有名なブランドも知らない。「官僚や政治家からも本音が引き出せるように」との目的を伝えると、髪型から靴までを選んでくれた。
目的に沿って外見を整えてくれるところがコーチングのスキルを持つ三好さんの「売り」。これまでわたしが愛用してきた国産でデザイナーズブランドより合っているスーツを捜してきた。
「へりくだって、粗末な格好をする必要はありません。相手と同じレベルの格好をすることが大事です。格を落とすことは、相手に対する礼儀のなさを示すことになる場合もあります」
濃紺の織りストライブの入った背広上下をまとって鏡を見ると、これまでと違った自分が映る。頭も、ヘアスタイルを変えることを勧めてくれた。自宅に帰ると、数枚にわたるレポートが送られてきた。基本イメージや購入時のポイント、合う色などが記されている。信頼を得られそうな、さっぱりとした髪型を紹介した雑誌記事も添付されていた。
怠惰なわたしにも、少しやる気がわいてきた。【了】
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「株式会社レアリゼスタイル」HP
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