PJ: 高橋 清隆
故木村定男氏の個展始まる 幻の原画が関心呼ぶ
2009年06月01日 08:15 JST

およそ40点の貴重な作品が並んだ会場。木村氏の次女腰塚雅子さん(左)と満子夫人(撮影:高橋清隆、5月31日) 
「木村定男〈のりもの絵本〉の世界展」が5月31日から東京・新宿のギャラリーで始まった。今回初めて公開される絵本の原画や鉄道博物館所蔵の油彩画もあり、訪れた市民の関心を呼んでいる。
木村定男氏は1999年に亡くなるまで、およそ2000点の作品を残した乗り物絵本作家。生前、自身の油絵を中心とした個展を開いたことはあるが、スケッチや原画も含めた展示会は初めて。会場には蒸気機関車や特急電車、リニアモーターカーやアメリカの長距離列車を描いた作品などのほか、港や街の風景画も並んだ。
今回の目玉は、出版社から返還されたばかりの原画。『夜の数寄屋橋』は、朝日新聞旧東京本社や旧日劇ビルが描かれた1950年代の作品で、雨上がりの冬の街並みが叙情的に表現された珍しいもの。鉄道博物館の厚意で展示された『出庫前』は、D51形を描いた30号の油彩画。出場を待つ機関車群が待機線に並ぶ姿がとらえられている。
今展示の演出を担当し、絵本の監修も務めた関田克孝氏は「これだけ絵が残っているのは奇跡だ。普通、本の原画は出版社が買い取ることが多く、作者に戻される確率は低い。木村先生はそのことに気付き、後半の25年は戻すことを前提に書いたから」と説明する。
横浜市から来たという20代の男性は、「鉄道ファンで、芸術のことは全く分からないが、写真以上にホンモノさを感じた。蒸気機関車の作品で、上がる蒸気が力強く描かれているのが心に響きました」と感服した様子だった。
今回の展覧会は、『のりもの絵本―木村定男の世界―〈1〉・〈2〉』監修・文 関田克孝(フレーベル館)が「鉄道友の会」制定の「島秀雄記念優秀著作賞」第1回単行本部門を昨年受賞したことを受けての開催。同書は、「作品を眠らせておくのはもったいない」との遺族の意向をくんだフレーベル館が100周年記念事業として2007年に出版している。
画伯の二女で主催者の一人、腰塚雅子さんは「父の画集が名誉ある一回目の賞を頂いたことを光栄に思います。乗り物絵の価値を認められたことが何よりもありがたいです」と話していた。【了】
■関連情報
木村定男〈のりもの絵本〉の世界展
期間:2009年5月31日(日)〜6月14日(日)
11:00〜18:30(最終日16:00閉場)
会場:東京都新宿区歌舞伎町2-46-5 KM新宿ビル9階
ギャルリー トラン・デュ・モンド
(JR新宿駅東口より徒歩8分、西武新宿駅北口正面)
電話:03(5273)4557
主催:SADAO★STATION
後援:株式会社フレーベル館
Produce:関田克孝
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