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PJ: 高橋 清隆

急増する左翼報道のたくらみ(下)
2009年01月10日 04:22 JST

イデオロギー闘争か人間解放か
テレビに映るデモや闘争場面は、人の心に訴えるものがある。にわかにメディアをにぎわす全共闘の古い活躍風景も、現代の視聴者を引きつけ、考えさせる。しかし、これらは権力による集中管理を民衆の側から求めるよう促す宣伝ではないのか。

 わたしが学生だった1980年代後半、大学ではまだマルクス経済学が生きていた。ただし、呼吸しているのはいわば半身。学生の間でよく交わされた議論は、『資本論』の経済理論は破たんしたが、その哲学的側面は生きているというものだった。つまり、生産力の発展が過剰生産や過少消費による大恐慌を引き起こし、資本主義的生産様式は破たんする−−という部分でなく、疎外された人間性をいかに高次元で克服するか(弁証法的に)という側面である。全共闘が追求したのは、どちらだろうか。

 全共闘運動を代表する2つの闘いは、東大闘争日大闘争である。私見では、東大は理性によるイデオロギー運動であり、日大は生理的な不満が爆発した壮大な反抗に見える。それでも両者が共闘できたのは、抑圧された人間性の解放運動をイデオロギーのメッキで固めたからではあるまいか。

 日大では立て看の設置やビラの配布も認められず、常時ガードマンに監視されている。ハンドマイクを持てば、日本刀を持った右翼が襲い掛かる。日大生には、東大生がバリケード封鎖をする理由が分からなかったと聞く。他大学では差別反対の意味でミスコンが廃止されたが、日大では女子が炊き出しや救護に回ったという。日大生が嫌ったのは、高校よりも厳しいキャンパスで、人間の尊厳を否定された環境に置かれていることではなかったのか。

 一方、卒業後は支配機構の要職に就くことが約束された東大生にとって、闘争は自己矛盾をはらむ。それを支えたのがイデオロギーであり、「男女平等」「人種差別撤廃」「反戦」「国境のない世界」などのスローガンだった。人類の普遍的な歴史発展の現場に立ち会うという崇高な心構えが、自己矛盾を忘れさせてくれたはず。それらの普遍的理念の実現が、人類家畜化への道だとは知らずに。

 人々が学園闘争について共感したのは、マルクス主義というイデオロギーでなく、人間解放という哲学的側面ではなかったか。しかし、今起きている共産ブームを見ると、容赦なき弾圧の果てに残ったのはイデオロギーの方だ。

横領のための偽装哲学理論
 そもそも共産主義思想はユダヤ金融資本が国家を寡頭支配するための道具として生まれた。ジョン・コールマン博士によれば、ロスチャイルドは欧州の王室国家を横領するためユダヤ人のカール・マルクスとフリードリッヒ・エンゲルスに「科学的社会主義」を研究させた。『共産党宣言』の執筆を依頼したバルーフ・レヴィは、マルクスにあてた手紙で次のように記す。

 「プロレタリアの勝利によって次々に世界共和国の一部となっていく諸国家の支配権は、これらプロレタリアを指導するわれわれユダヤ人の手に容易に収めることができます。要するに、プロレタリアの勝利は私有財産生の廃止をもたらし、こうして公有財産となった他民族のあらゆる私有財産は、公有財産を管理するユダヤ人の支配下に入るのです」

 つまり共産主義思想は下心からでっち上げた虚偽の観念であり、「イデオロギー」と呼ぶのもはばかれる代物であるのが真相である。よって、「哲学的側面」というのもまゆつば物だ。「正・反・合」と進むヘーゲルの弁証法は、米国イェール大学の秘密結社スカル&ボーンズが戦略として採用している。世界に意図的な対立を引き起こし、緊張が極まったところで自分たちに有利な解決を提供するという方法である。その意味では、すべての全共闘運動が踊らされていたことになる。生理的な怒りだけが真実だった。

外部に操縦された日本の盛衰
 踊らされたのは、全共闘運動だけではない。敗戦後のわが国は傾斜生産方式や経済安定九原則に見られるよう、米国の指導の下、半ば計画的な経済体制を組むことでみぞうの成長を実現した。そうして蓄積した血と汗の結晶は、構造改革によってごっそり収奪された。このてん末は周到に計画されたものとみなすべきであり、マルクス理論の輸入も同様に考えるべきではないだろうか。

 わが国は世界一のマルクス研究の先進地であり、全国の国立大学で公然と『資本論』の内容が講義されてきた。戦前から同書の密輸を促すも、共産主義運動や大学闘争をことごとく鎮圧してきたのは、日本人が世界の働き蜂として任務を終えるのに時期尚早との判断があったからではないか。

 日大全共闘は体育会系学生や武装した右翼に襲われ続けたが、ある体育会の元学生は理事から金をもらっていたと吐露している。国の名を負った大学だが、協力した右翼団体は在日ヤクザで、大学役員と昵懇(じっこん)の関係にあった。このことからも、わが国が外部の力で計画通りに操縦されてきた節がうかがえる。

 二・一ゼネスト以来、わが国で起きた大衆運動はことごとく鎮圧されてきた。キャンパスはきれいで「安全」な空間に変わり、労働組合は勤労者全体のものでなくなった。相次ぐ騒動の後にひっそりと相続されたのは、共産主義という幽霊だけである。この燃えかすがいよいよ炎を上げた。

 ブームはいつも、マスメディアが演出する。歴史上のあらゆる大衆運動が強大な権力に企てられたものであることは、解除された公文書や告白・告発本で今や明らか。目の前で起きている左翼ブームが、一握りの支配層による全人類の奴隷化につながっていることは疑いない。スローガンとは裏腹に胸躍らすことのない、非人間的な社会が待つ。

 プロレタリア本の復活や「ワー・プア」の反乱にはしゃぐ人が増えるにつれ、わたしは無口になる。【了】

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