PJ: 高橋 清隆
ほかにもある江ノ電の素敵な絵と写真
2008年12月17日 09:35 JST

鎌倉市腰越3の岡田書店で開かれている「懐かしの江ノ電 写真展」(撮影:高橋清隆、12月5日) 
先日、故・木村定男画伯の江ノ電の絵を紹介したが、味わい深い江ノ電の絵を描く画家はほかにもいる。田口雅巳氏はその1人で、現役で活躍する。最近絵はがきを手に入れることができた。
皆さんは「江ノ電サブレ」をご存じだろうか。鎌倉や藤沢あたりの売店で見かけるクッキー菓子で、包装紙には季節とともにさまざまな表情を見せる江ノ電が描かれている。柔らかい線と淡い筆遣いの水彩画で、見る者を和ませる。「絵 田口雅巳」と添え書きがあり、別の絵も見たいと思っていた。
わたしは2月、所用で初めて鎌倉に降り、美しい風景に魅了された。しかし、生活もままならない分際で名所散策に興じる資格はない気がして、行くのを極力控えていた。12月上旬の金曜日、仕事が一段落した勢いで、一睡もしないまま鎌倉に出掛けた。
朝は太陽がまぶしかったが、日が高くなるにつれ風が強くなる。昼すぎに鎌倉から江ノ電に乗り換え、極楽寺で降りた。トンネルから出てくる車両を写真に収める。切り通しを抜けて由比ヶ浜の端に出ると、海は大荒れ。コートもカメラも砂だらけになった。人のほとんどいない鎌倉を見るのは初めてである。
再び江ノ電に乗り、腰越で下車。併用軌道(路面電車)区間を見るためだ。民家の軒先や生け垣をこするように走った電車は、ゆったりとした車道に出て優雅な全身を見せる。カマスを干した魚屋や洋風モルタル造りの写真館の前を過ぎる光景を楽しんだ。電車通りの書店に立ち寄ると、どこかで見たような絵が目に飛び込む。田口雅巳氏のカレンダーだった。江ノ島電鉄が発行している。絵はがきもあった。7種類のセットが出ている。
店内には古い江ノ電の写真が並ぶ。「懐かしの江ノ電 写真展」が開かれていた。撮影者は代田良春さんという電鉄OBの方である。鉄道に疎いわたしだが、記憶にあるかのような写真に引き込まれる。書店の岡田敏彦さんによれば、代田さんの著書も人気とのこと。
「鉄道マニアの間では有名で、埼玉や千葉から見に来られる方もいます」。わたしは田口氏のカレンダーと絵はがきセットを全種類買い込む。外に出ると、まだ4時すぎというのに真っ暗で、土砂降り。宝物を大事に雨から守り、江ノ島駅に着く。美しい風景をかばんに入れたわたしは満足感からか、終点まで二十数分の眠りに落ちた。【了】
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