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PJ: PJニュース編集部

パキスタンの最貧州、バロチスタン州での医療活動報告=国境なき医師団
2010年01月05日 10:06 JST


パキスタン・クシュラックでMSFが運営する母子保健センターで生まれた新生児。(写真提供:国境なき医師団) 

【PJニュース 2010年1月5日】パキスタンの最大州で最も発展の遅れているバロチスタン州では、大半の市民がほとんど医療を受けられずにいる。国境なき医師団(MSF)は、州都クエッタのすぐ北に位置し、アフガニスタン難民の大規模な入植地となっているクシュラックで無償で医療を提供している。MSFの活動内容を報告する。

■信頼に支えられ、母子保健医療を強化
MSF医療チームは、クシュラックや近隣町村からの主に女性と子どもを対象に、毎月1万件を超える診察を実施している。ここでの診療所は、同地域の極めて低水準の産婦と新生児の生存率を改善しようという取り組みの一環としてMSFが設置したものだ。診療所では、毎月300件の産前ケア診察を行っている。

MSFが2005年にプログラムを立ち上げて以来、クリニックでの出産件数は平均で月間10件から150〜170件へと飛躍した。家庭内での出産が一般的で、女性の移動が厳しく制限されている地域でである。

MSFはまた心理ケアのカウンセラーが、心理面の支援として月間400件から600件の個別カウンセリングを行っている。さらに、2008年9月には皮膚リーシュマニア症の治療を開始し、現在は毎月15〜30人の患者を診療している。また、栄養治療プログラムも運営し、クシュラックだけでなく、貧困や紛争、収穫の期待できない痩せた土地に住むなどで生活が困窮している周辺の遠隔地からも患者が訪れている。

アフガニスタンとの国境沿いに位置するキラ・アブドラの町チャマンでは、MSFの医療スタッフがアフガニスタンからの難民とチャマンの住民に医療を提供している。MSFは2007年5月に、チャマン病院で緊急産科治療や新生児ケア、産前・産後ケア、女性入院病棟、栄養失調児の治療など、母親と子どものための医療援助を開始した。2007年の月間平均で35件だった同病院の分娩件数は、2009年10月には200件以上と大幅に増えた。400キロ以上の道のりを旅して、無償の帝王切開手術や婦人科の緊急手術を受けに来る患者もおり、難しい分娩も多い。栄養治療プログラムも月間約50人の栄養失調児を受け入れている。アフガニスタンから国境を超えてプログラムに加わる子どももいる。

■クシュラックのMSFの診療所では、毎月300件の産前ケア診察を実施。
バロチスタン州東部では、MSFが2008年7月に実施した調査により、ジャファラバードとナシリバード東部地区で栄養失調が懸念される水準に達していることが判明した。調査結果を受けて、デーラ・ムラド・ジャマリとウスタ・ムハンマドの町で5歳未満の子どもを対象とした緊急栄養治療プログラムを開始した。

2009年半ばまでには、この栄養治療プログラムを拡大し、ソバツプールとミール・ハッサンも対象地区とした。10月には、重度の栄養失調児630人以上をMSFの栄養治療プログラムに受け入れたが、これだけ多くの子どもが栄養治療プログラムの対象となった原因は、収穫期前の備蓄食糧が不足する時期であったこと、食糧が十分に確保できないこと、封建的土地所有制度によって貧困が広く蔓延していることにある。避難民の一部は医療がほとんど受けられず、社会からも排斥されて、状況はさらに厳しい。

MSFはウスタ・ムハンマドにおいて、地区の病院での安全な分娩を中心に、母親と子どものための医療を支援している。MSFの産科病棟では毎月100人から150人の新生児が生まれている。

■頻繁に起こる自然災害にも対応
MSFはまた、パキスタンを頻繁に襲う自然災害の緊急事態にも対応している。2009年には北西辺境州(マルダン郡、ノウシャラ郡)で発生した洪水に、2008年にはジアーラット地域の地震に、2007年にはサイクロン後の洪水などバロチスタン州で発生した一連の自然災害に、2005年にはカシミール地方で発生した大地震に、それぞれ対応した。【了】

■関連情報
国境なき医師団

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