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PJ: PJニュース編集部

エイズ治療薬の「特許プール」、中所得国が対象から除外される恐れ=国境なき医師団
2009年12月10日 09:21 JST


エイズ患者が1週間に服用するARV薬を管理する錠剤ボックス。南アフリカで。(写真提供:国境なき医師団) 

【PJニュース 2009年12月10日】エイズ患者がより効果的で安価な治療を受けられるよう現在、医薬品購入機関「国際医薬品購入ファシリティ(UNITAID)」によってHIV/HIV/エイズ治療薬の特許プールの創設が進められている。一方で、数多くの製薬会社が中所得国を特許プールの対象国から除外する動きがあり、国境なき医師団(MSF)は懸念を強めている。12月14・15日にジュネーブで行われるUNITAIDの理事会で特許プールの創設に関する今後の方針が決定される予定であり、もし中所得国が除外されれば数多くのエイズ患者の命が犠牲になる。

特許プールの創設には、現在入手可能なHIV/エイズの第一・第二選択薬の価格を引き下げる効果が期待されている。また、小児用エイズ薬や多剤混合薬を含む、新しくより効果的な治療薬の開発とジェネリック版の製造の促進を可能にするため、開発途上世界のHIV/エイズ患者が延命治療を受けられるためのセーフガードとして機能することが見込まれる。

MSFのアンゲラー医師はこう話す。「製薬会社は南アフリカ共和国、ブラジル、ペルー、タイ、インド、中国といった国を利益の見込める新興市場と見なしています。しかし、これらの国ではHIV/エイズが蔓延しており、治療薬の価格も上昇しています。もしこうした国々が特許プールの対象国から除外されることになれば、患者に重大な犠牲をもたらします。MSFは、UNITAIDが製薬会社側の要求を受け入れ、全ての開発途上国に住むHIV/エイズ患者が治療薬を入手可能にするための取り組みに消極的になるのではないかと懸念しています」

国連合同エイズ計画(UNAIDS)の報告では、アフリカを除くアジア、南米、東欧、カリブ諸国といった中所得国とされる国々でも800万人以上がHIV/エイズに感染している。製薬会社の主張が受け入れられ、これらの中所得国が特許プールの対象国から除外されれば、特許プールの実現による当初の見込みから大きく外れることになる。

MSFがエイズ治療プログラムを行う中所得国においても、より新しく効果的なエイズ治療薬の開発が早急に必要とされており、特許プールによる恩恵をこれらの国が受けられることは切実な要求である。南アフリカのカエリチャでMSFが行うHIV/エイズ治療プログラムでは、5年以内に患者の16パーセントが第一選択薬への耐性を獲得し、新たに第二選択薬による治療を始める必要が生じると予測されている。しかし、第二選択薬は極めて価格が高く、最大で17倍の価格になる。もし第二選択薬による治療も失敗すれば、第三選択薬での治療には2300米ドル(約20万3千円)の費用がかかる。ブラジルにおいても、比較的新しいHIV/エイズ治療薬のアタザナビルは極めて価格が高く、政府のエイズ治療対策の予算の大半を使い果たしている。

UNITAIDの理事会は、開発途上国全てを対象に特許プールを開設するという当初の約束を明示し、中所得国の患者のニーズにも対応することを含めた上で特許プールの方針を決定することが極めて重要である。

UNITAIDが進める特許プールの設立を支援するMSFのキャンペーンの一環として、製薬会社10社に対し、各社が保有するエイズ治療薬の特許権を特許プールに提供することを求める28万通以上の手紙がこれまでに送られた。

MSFはキャンペーン対象の製薬会社10社のうち9社から、UNITAIDと協議を進めているとの返答を受けた。多くの会社は特許プールの設立に肯定的であった一方で、数社は特許プールの対象から中所得国を除外する意向を示していた。

UNITAIDは2008年6月に低・中所得国の人びとがより安価で新しいエイズ治療薬を入手できるよう、エイズ治療薬の特許プールを設立する提議を承認した。12月14日のUNITAIDの理事会において、特許プールの設立の可否についての最終決議が下される。MSFは、UNITAIDの代表に向けて、全ての開発途上国が特許プールの恩恵を受けられることを求める手紙を送っている。【了】

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国境なき医師団

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