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PJ: 池野 徹

「イラストレーション」は「フラストレーション」に勝つ? 川村コウイチの仕事展。
2009年11月25日 12:27 JST


"The Illustrator Kouichi Kawamura" (撮影:池野徹、11月14日) 

【PJニュース 2009年11月24日】イラストレーターという職業がある。明らかにある絵を描くアーティストであるのは間違いないが、ファインアーティスト(絵描き)とグラフィックデザイナーと、カリカチュア(漫画家)カツーン作家、コミックス、アニメーターとどう違うのかその境目はあいまいである。

ノーマン・ロックウエル、レイモン・ペイネ、ピーター・マックス、オーブリー・ピアズリーと来ると、独特の世界を持った絵を印刷物、本の世界で確認されるが、日本でも、伊坂芳太良、宇野亜喜良、金子国義、小松崎茂、竹久夢二、ペーター佐藤と、挿絵からグラフィック、広告作品までのジャンルに活躍したイラストレーターという事ができる。純粋アーティストは、自分の世界観を主張するが、イラストレーターは、注文される世界を描いてみせるアーティストである。情報をヴィジュアル化したり、コミュニケーションの役目を目的を持って果たすという事が言える。

しかし現在は、日本のカツーンとか、アニメーションとか、フィギュアとかのアーティストが、コンピュータテクノロジーと合体して、日本はその代表になる作品群を世界に向けて発信している状態だ。特に、映画、テレビ、ビデオのメディアに顕著である。1960-70年代頃はフラワームーブメントがあり、サイケディリックなイラストレーションが席巻して、写真に変わるメディアとしても強かった時代がある。例えば、自動車の広告にも、ファッションの広告にも夢のあるイラストレーションが使われ一世を風靡した時代があった。

現在は、その意味では、コミックス、アニメーションの世界に押されて、繊細な、タッチとか、色とかで人々を惹き付けるコミュニケートできるイラストレーションがもっとあってもよいのではないだろうか。カメラの入れない裁判所の被告のイラストレーションばかりでは何とも寂しい限りである。

先日、銀座煉瓦画廊で行われていた、「川村コウイチの仕事展ーイラストレーションプラスアルファ」があった。会場に着くと画廊の扉の向こうから、元気な声が聞こえて来る。お客さまに説明してる川村さんの声だ。中に入る。白髪に真っ赤なパンツ黒いブレザーと、小柄な川村さんの目と顔に対面したのである。実は川村さんはガンに取りつかれ、制作を奪われ当然その戦いにつかれて明るさを失っていた時期があったが、きょうは、明るいジョークの達人がそこに居たのである。

川村さんは、東京芸大の図案科を卒業して、大手広告代理店で広告の仕事をした後、イラストレーターを中心とした仕事をこなして来た。今回の展示には、広告に関したもの、マイケルやエルビスの似顔絵風のもの、イヌのカウボーイ、ネコのバンプな貴婦人と動物たちのカリカチュアもの、彼の腕の確かさが見られる肖像画、飛行機自体がサンタクロース、シカのスポーツカーに乗った雪の中のサンタさんのクリスマスアイテムものと多彩にディスプレーされていた。そこには、しゃれた遊び心や、温かいカラートーンがちりばめられた作品が並んでいた。これこそイラストレーションだろう。

お客さまには細かい気を使いながら、でもデカイ声でとどまる所を知らない声が響いていた。画廊に植物があったり、独特の木の家具があり、なぜか「川村さんのイラストレーションにマッチしてますね」と画廊の竹内恵子さんに言うと微笑んでおられた。奥様や娘さんが「きょうは楽日だから、かた付けに来るんだ」とご本人「コウちゃん」は最後まで明るかったのが良かった。【了】

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