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PJ: 池野 徹

「創造」に「創傷」は必然のものだ。樹木希林さんとのクリエイティブ談義。
2009年10月17日 06:46 JST


"Dead or Alive" (制作:池野徹、10月16日) 

【PJニュース 2009年10月17日】樹木希林さんの着物の写真を撮った事がある。希林さんは膨大な着物の収集家でもあるが、ご自分で古い着物の端切れを使ってそれを組み合わせ、新しい着物に再生するというか、全く新しいデザインの着物へと変身させてしまう才覚をお持ちの方である。つまり、既成のものをぶちこわして、新しいものを生み出す事をよく分かっているのである。そのスピリットが実は希林さんの演じる女優の世界に生きているのは言うまでもない。

一緒に新幹線で京都へ行き撮影した経験は撮影と言うより、希林さんを知る上でユニークな出会いであったと思っている。打ち合わせにお宅にお邪魔して話をした時にいくつかの言葉が印象に残ったのであるが、私は「創造する・クリエイティブ(Creative)が一番興味ある事だ」と言ったら、希林さんは「創造するねえ、創造の『創』という字は、『キズ』が入っているのよね」と言い出したので、すっかりその『キズ」談義になってしまったのである。

なぜ、創ると言う字がキズと言う字なのか、辞書では<創>刀できずつくこと、きず。「創傷」「創痍」「絆創膏」。物事をはじめること。「創始」「創造」「創業」「草創」「独創」と両方の意味がある。キズだけでいうと<瘡>(創と連用)きりきず。「瘡痍」「金瘡」。できもの。はれもの。かさ。「疱瘡」「瘡毒」とある。

新しい事を創る、始めると言う事は、キズを創る事だと言う意味が、ちょっと合点が行かない様に見えるのだ。人間のまっさらな身体があるとしたら、その身体自体は人間として当たり前の事だ。しかし、何かの事でその身体をキズつけられたら、昔なら刀で切られたら、これはとんでもない事、普通でない、日常的でない驚愕の事態だということになる。つまり、新しい事を創るとは、日常的でないことが起こる事なのだ。新しい創作的な事は、予期せぬことが起こるから新しいし、「チェンジ」することも既成のものから新しく創り変える事である。だから一般的な人々からは、非難を浴びたり、ちょっとおかしい事だと思われたりする。そこには新しく創るという事を貫き通す、勇気と実行力が必要になるのだ。

オバマ米国大統領は、「チェンジ」を唱えて既成のものから、より正しい世界へとフラッグシップを発揮し始めている。鳩山日本国総理大臣は、「友愛」を掲げ、官僚政治から、国民主体政治へと切り込み始めている。そこには、新しく始める「創造」の世界があり、それに伴い「キズ」を負う世界、「満身創痍」にもなりかねない事が、既に始まっている。この「キズ」を恐れず真の「創造」世界、地球人の「平和」の世界を創って欲しいものだ。

樹木希林さんは,私と違って良く書物を読まれている。お互い元気なうちに「クリエイティブ談義」をしたいと思っている。

【了】

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