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PJ: 池野 徹

マイケル・ジャクソンは、何が凄かったのだろうか。
2009年07月02日 06:30 JST


"Black or White" (制作/撮影:池野 徹) 

アメリカのエンタテインメントの歴史は、戦前戦後を通して独特の「アメリカ流」があり、ミュージックとダンシングが一体となり、ニューヨークはブロードウエイのステージでミュージカルとして演じられ、それがヒットして映画化され、現在でもいまだに続いている。ダンサーとしてジーン・ケリーとかフレッド・アステアの映画スターが登場した時代がある。それが1957年に上演され、1961年に映画化された「ウエスト・サイド・ストーリー」は、衝撃的なミュージカルで世界中の注目を得た。レナード・バーンスタイン作曲で、ジェローム・ロビンスが振りつけたニューヨークの若者の人種的対立を含んだ恋の悲劇で、抜群のダンスシーンが受けたのである。演じたジョージ・チャキリスはアカデミー賞を獲得。

一方で、ロックミュージックの登場で、エルヴィス・プレスリーが現れ、歌だけでなく、エルヴィスの歌うしぐさ、腰の振り方が話題になった。ラス・ヴェガスをはじめ、10万を越す野外競技場でコンサートが行われ、歌い手の声とボディの動きに興奮のるつぼになったのである。チャック・ベリーは、ギターでダッグウオークをした。ジェームズ・ブラウンは、ステージでコールされても、なかなか現れず前座がコールを繰り返して観衆がしびれを切らすころ、先導のケープの中からやっと現れる。つまり、一大スターの登場感の演出は、まさにショービジネスとして、プロの見せ方をしていたのである。ジェームズ亡き後、唯一この「アメリカ流」エンタテインメントを演じていたのが、「マイケル・ジャクソン」であった。

マイケル・ジャクソンは、1966年に、「ジャクソン・ファイブ」で8歳でデビューした。父親にしごかれ、そのままスターに駆け上がって行く。それから亡くなるまでのマイケルは人間と言うより、一つのエンタテイナー・マシンとして、駆け抜けたのである。1982年「Thriller」で驚異的世界ヒットする。何が受けたのだろうか。あのオクターブハイの声と同時に、ダンスステップの一体感、ロックのリズム感、魅力的なアフリカン・アメリカンの独特のムーヴィング。オリジナリティのある振り付け。すべてが一体になったミュージック&ダンシングをカッコ良く見せてくれたのである。聴衆は、そのスピード感ある動きに虜(とりこ)になったのである。それこそが、究極のエンターテインの世界だったのである。

聴衆がともに楽しめる一体感を持っていた。そのころ日本でも「ピンクレディ」が、歌と踊りのスタイルで圧倒的に日本を席巻した事実がある。80年代はMTVに代表される様に、ミュージッシャンのプロモーション・ヴィデオがあったように、歌と踊りと振り付け演出が重要になるきっかけは、マイケルだったのである。歌う事、ボディを動かす事がいかに楽しいか分かったのである。ラップ調、ヒップホップのはしりしであったし、現在、歌いそして踊るのは、歌手として当たり前になっている。マイケルはその頂点にいたわけである。

マイケルの死後直後から、その資産的スキャンダルが取りざたされたり、死因疑惑とか、整形治療とか、マイケルの生き方とか、話題がますますエスカレートするだろうが、そんな事はどうでも良い。マイケルの生のステージはすべて見て来た。巨大なカーテンシュルエット、斜め立ち、ムーンウオーク、ナオミ・キャンベルとの絡み、世界のチャイルドとのダンシングと。マイケルのアーティストとしての凄(すご)さ、クリエイティビティ、音楽性の確立に、もっと耳を利かしたらどうだろうか。例えば「Dangerous」というCD一枚をじっくり聞いてみると、その個々のインスツルメンツのミックス、繊細さと大胆な音造り、クリアなサウンド、その中をかいくぐり聞こえて来るマイケルの声、リズムのビートは、マイケルのハートの鼓動である。

1984年、ローリング・ストーンズのミック・ジャガーとマイケルが歴史的共演した一曲がある「STATE OF SHOCK」である。一人の女性を奪い合うセクシーでショッキングな曲だが、ミックがラストに、「Look At Me!」を6回リフレインして、マイケルが「Aha!」と一声シャウトしてエンド。

"We Are All State Of Shock !"


【了】

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