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PJ: 池野 徹

「テレビ」と「新聞」を止めると見えてくるモノ。
2009年06月10日 05:28 JST


"On or Off" (撮影/制作:池野 徹) 

引っ越ししたのを機会に試した事があった。最初から意図的にやった事ではないのだが。

 20年も使った、当時最大大型40インチ三菱テレビを放出したのだ。そのブラウン管の重さのせいだったが、よく映って、映像トーンもフィルム的で好きだった。少し放出に迷いが出たが、思い切って引き取ってもらった。もうひとつは、長年の読者である朝日新聞をとらなくなったのだ。とろうとは思っていたが、新聞販売店がやって来ないのである。田舎なのだ。それをいい事に、新聞もとるのを一時止めてしまったのである。つまり、情報のたよりは、パソコンにかじりついて、ネット記事を見るだけになったのである。後は新鮮な空気の中を散策する日々になった。そしてちょうど、1カ月が経過した。

 朝起きるとFMラジオを聞く、この辺りはFMの電波が受信状態が良くて、関東一円のFMが受信出来る。初めて聞き出した東京の「Inter FM」のファンになってしまった。インターナショナルなDJが多いが、音楽中心で下手なしゃべりが無くて気持ちよい。選曲もセンス抜群だ。しかし、朝食の後のトイレは,いつも新聞を見ていたので、何とも物足りない。まあそれも慣れてはしまったが。朝のテレビのニュースショーは見られないが、環境と相まって感じたのは、テレビは時にはその音声は騒音的でうるさいものだと、無くなってわかった事である。つまり朝から静かなのである。困ったのは、時報と天気予報が確認出来ない事だった。

 それで、さすがテレビの即時性にはかなわないと、仕事に使っていたモニター用のSONYの10インチテレビを探し出し見る様になったのである。画面は小さい。音声中心に見ていたが、わかったことは、ニュースには「2羽の鳩が太郎首相を襲う話」この話ばかりが大きくクローズアップされて、各チャンネルともこれでもかと追求している事だ。つまり、テレビは、でかい話題をしつこく追求する、おおざっぱなメディアだと感じた事である。何か視聴者にへつらったニュース造りをするメディアだなと。一山造って、どんぶり勘定のニュースメディアだと合点がいったのである。

 新聞をコンビニで買った。紙面を広げると画面がやたらと大きい感じがする。一番分かった事は、ニュースのプライオリティがよくわかる事である。トップ面の活字のフォントの大きさが迫力あるのである。つまり見出しが視覚的に捉(とら)えさせていて眼がいくのである。それとトップ記事にする新聞社の意図が見えるのである。

 コラム的には「人脈記」。ピューリッツアー賞をとったカメラマン長尾靖さんの、浅沼稲次郎社会党委員長刺殺の瞬時を捉えた数奇な運命が描かれていてドキュメンタリーだ。これは一枚写真の強さとともに新聞の強さだと思った。あとは、死亡欄記事の確認ができる事だ。

 まあ、週刊誌の見出し広告の露出は、見ざるを得ない。しかし、広告欄も、ダイレクト製品紹介広告ばかりで、ヴィジュアルに惹かれる質の高い広告などは見当たりもしない。朝日の文化記事の意識は高くなっているのは良い事だと思うけど。

 新聞、テレビからアウトしてる間感じた事は、ネットのニュース記事などは、小さいフォントですべて同じ並びの一行見出しの記事の羅列ばかりで、迫力も無ければ、魅力も無いレイアウトであると解った事だ。ただその情報を羅列してるだけでは、アクセスするヤツにあきられてしまうし、飛ばされてしまう。新聞の、テレビの代わりになる優位性を出すのにはまだ問題ありと見えたのである。邪魔なけん騒のバナー広告もカネのためとは言いながらである。

 視聴者にとって、関心を寄せたくなるメディア、必要なメディア、興味あるメディアは、どのメディアなのだろうか。送り手は勝手にやる、受けても勝手にやるというなら、レベルのあがらない、退屈な、喧騒だけしか残らないメディアとなってしまうのでないか。引っ越し最中に出て来た、1980年代の、雑誌「ブルータス」とか、情報の豊富さ、見せ方のレイアウトの良さ、デザイン力の高い、写真、イラストの生きてるメディアの時代だったと、つくづく思えたのだった。手抜きの、解れば良い、便利だから良いだけの、全ては、端末機器的な、コンビニ感覚のメディアになっている事に気がついているのだろうか。

 わずか1カ月振りの、新聞、テレビは、新鮮ではあったが、ネットにもある種の革命が必要だ。風と光と動物と植物の自然環境の強い中に放り出された人間は、メディアの刺激より、自然の刺激の方が遥かに強く,心地よいものだと思えたのは、田舎ボケしたのとは違うと思うけど。

「静寂と喧騒のエッジに人間のオモシロさを見る」

【了】

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