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PJ: 池野 徹

人は一生のうち何回の「引っ越し」をするだろうか。
2009年05月11日 06:28 JST


"Aono Mobara" (制作/撮影:池野 徹) 

引っ越しする事になった。千葉県内の千葉市から同じ県内の茂原市へである。日本の人は一生のうち何回引っ越しするだろうか。引っ越しの理由は、全く個人的なもので、人それぞれだろう。新潟県に生まれた。中頸城郡中郷村に生まれ、新井市へ、そして、東京都杉並区へ、練馬区へ、目黒区へ、埼玉県入間郡鶴瀬へ、東京都世田谷区駒沢へ、等々力へ、野沢へ、そして、千葉県千葉市へ、そして、千葉県茂原市粟生野へとやって来た。ほとんどが、東京都の世田谷暮らしだった。生まれたのが新潟の田舎で、現在千葉の田舎へ来ている。田舎で育ち、都会で生活し、田舎へ戻って来たと言う感じである。人間の生き方の一つの典型かもしれない。

 戦後の過酷な時代に田舎で育ち、かすかな希望が東京と言う都会への憧(あこが)れでもあったようだ。東京で学生時代を過ごし、仕事をして、外国へも行き、都会の便宜さをすべて味わい、仕事するなら、都会だぜとうそぶいていた自分が居た。先取りが好き、流行の最先端を奪い、勝手放題だった気がする。やがて、ビルのモノトーンの冷たさに嫌気がさし、人の喧騒(けんそう)感に飽きが来て、仕事も壁にブチ当たり、アナログからデジタル時代のパソコン一丁で勝負できることがわかり、都会をアウトしたくなって来た。

 都会は人間の住むところじゃねえと気がつくと、脱出は必然のものとなり、人間らしい、自然の環境へ心がスライドしだしたのである。千葉へ来て、懐かしき田舎を取り戻し、空気のうまさ、食い物のうまさを感じる様になる。人の気持ちよさも味わう。長い都会生活から抜けて初めて気が付く事が多過ぎる。便利を捨て、不便に甘んじる、あの幼きころの田舎へ帰った気がするのは、不思議なものである。

 新しきわが家は、三方を緑の林に囲まれ、電線もビルも家も見えない。出迎えてくれたのは、カエル君とケムシ君とハアリ君であった。東からの日の出が見え、南の日当たりに、西の斜めの陽光に陽の沈むのが見える。斜光の光の美しさを久しぶりに室内で感じる。1キロほど離れた、コンビニへの近道は、田植えが終わった田んぼの畦道(あぜみち)を歩きながら行くのである。風に吹き飛ばされ田んぼに落ちてもおかしくはない。バス便は2時間に1本。外房の大網駅からは東京へ48分の特急が1時間に1本ある。帰り、乗り遅れたらどうなるのか。

 しかし、念願の好きな海へ近づいた。5キロ弱、クルマなら10分だ。歩いても行ける。若きころの湘南族が、九十九里族になろうとしている。ぶっ壊れたわが愛車を、修理に出している。まあ、これから何が始まるか、五感を刺激する新しい出来事に期待したい。世の中、地方地方と、政治も行政も言われているが、地方のまた地方へ住む体験を通して、何が得られるだろうか。片手にカメラ、片手にパソコン一丁で、アーバンとインターナショナルをくし刺しにしながら、ナチュラルな世界をエンジョイしたいと思っているのだが。

「Moveは、Energyと、Changeと、Ambitiousを生むと信じたい」

【了】

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