SakuraFinancialNews

PJ: 池野 徹

「マスターズゴルフ」はアートがいっぱいだ
2009年04月15日 08:11 JST


"Master's Golf"(制作:池野徹) 

ゴルフはスポーツだろうか、いい大人が棒を振り回し、小さな球を転がすゲームの一種じゃないかと思われていた時代がある。それと、外国から来た、お金持ちの遊びのゲームだとも思われていて、戦後、中村寅吉が現れて注目されだした。1960年代の企業のトップクラスは、趣味といえば、ゴルフ、そしてそのゴルフが接待に使われだして、ゴルフ場ができ始め、メンバーシップ会員が増え、会社で出世するには、ゴルフが付き合いができるかが分かれ目になったとさえ言われていた。だから、ジジイがやる、カネがらみの小道具の一つと、決してフェアなスポーツという印象は無かった。

 それが1970年代に、野球上がりの尾崎将司が現れて、俄然(がぜん)スポーツ的ゲームとして注目を浴び始めた。尾崎将司が飛ばす豪快なショットと強さに、青木功の技巧に、中島常幸が続いたのだ。空前のゴルフブームになり、女子プロゴルファーも活躍して、日本から海外へ進出して、時には互角に渡り合えるまでなったのである。もちろん欧米のプロゴルフは歴史もありスポーツ競技としてキラ星のごとく名選手がおり、現在ではタイガー・ウッズという大スターがおり、心技体の傑出したアスリートとして存在している。

 その世界ゴルフ4大メジャー・トーナメントの最高峰と言われる「マスターズゴルフトーナメント」がアメリカジョージア州オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブで行われた。日本からは、若き17歳の日本のプロゴルファー石川遼が特別出場し、アメリカで鍛えた今田竜二と、日本の現王者、片山晋呉が出場。石川遼ブームに乗りメディアを始め、テレビ映像はそのオーガスタの美しいゴルクラブをバックにしたプロゴルファーの戦いを伝えていた。

 その映像は何回か見た事はあるが、1934年にボビー・ジョーンズにより創られたゴルフコースは風土にマッチして、美しいのだ。まず、フェアウエイの燃えるようなグリーン色、その両側に緑鮮やかな立ち木の群れ、アゼリアの七色の花。そして、ティーグラウンドに、ゴルファーが現れる、深紅のポロシャツに、細身のブラックパンツに、深くかぶったキャップに手をやりながら、遥かのピンをターゲットに、ウッドのドライバーショットを放つ。ボールは、白い奇跡を描きながら、フォーローにのり、あるいは、アゲンストの風を抜け、真っ青に晴れた、ジョージアの空間を切り裂いて飛んでいく。

 バックには、多くのギャラリー、パトロンの歓声が上がる。350ヤードも飛ばすプレーヤーもいるが、そのボールの行方は、時として、フェアウエイから、銀白色のバンカーへドロップする、コースを横切る川がある、その近くにグリーンのラフがあり、肝を冷やす場面もある。航跡を残してボールはストップする。いくつかのアイアンを選び、風を読みターゲットのグリーンをとらえる。

 このオーガスタのグリーンは、ショートにかられた芝で堅い。そして何よりも他の大会と違ってこのグリーンはなだらかな、アンギュレーションがついており、ドロップしたボールはティーホール近くに落ちても後ずさりして戻ってしまうのだ。毎日ホールがチェンジされるので、グリーン上でのパットが勝負になる。これを読むのが、パッティングされたボールの転がり具合を見るのが、ゴルファーの技と運を読むのがオモシロい。だから、イーグルパットが描く航跡は、パッティングした瞬間は、そのゴルファーの心理面と作戦面と技術面が絡み合い、まさにグリーン上にアート的な映像を見る事ができる。カップに吸い込まれた瞬間、本人のパフォーマンスと、ギャラリーの歓声が静寂の中にこだました時、勝負が決まる。

 このオーガスタのゴルフクラブのグリーンとブルーの空間に、光と影が揺れてそこで、一人の男がクラブを一閃(いっせん)、キラッと光った瞬間に、真っ白いボールがブルーを切り裂く。素晴らしい環境だ。アート世界でアスリートが独り勝負してる。あの戦後の色あせた日本のゴルフ世界とはまさに両極端だ。特にメンタリティーの強いスポーツと言える。

 アルゼンチンの星、アンヘル・カブレラが優勝。予選落ちの新人、石川遼にはいい薬だろう。今田竜二は自信を得ただろう。片山晋呉は、いつもの生意気な顔が、マイルドないい顔になり、日本人を意識しただろう。その証明としてタイガーウッズ、フィル・ミケルソンを抜き4位になり、まだ見ぬグリーンジャケットに腕を通す夢が見えた事だろう。

「白球が、緑と青を切り裂く。赤と青の血潮が、心臓の腑を突っ走る」

【了】

■関連情報
FXトレーディングシステムズはパブリック・ジャーナリズムの発展とPJ(市民記者)の活動を応援します。
キャッシュバックキャンペーン実施中
PJニュース.net
PJ募集中!
"Creative Eye"(記者ブログ)



関連記事:
タグ:
pagetop

PJ 記者