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PJ: 池野 徹

「捨てるべきか」「捨てざるべきか」それが悩み
2009年04月11日 05:12 JST


"to throw away, or not to throw away"(制作/撮影:池野徹) 

その季節は確実にやってくる。世の中は春らんまん、桜の花はその満開を迎え、そして春風に吹かれて花吹雪に変わりつつある。3月の後半から4月にかけて、日本の景色は、寒さから暖かさへの切り替えが進み、新年度へ、政治も、企業も、学校もチェンジの季節を迎えている。そして、住み慣れた場所から、新しい場所への引っ越しの季節でもある。

 人は一生の間に、どれだけ引っ越しをするだろうか。もちろんその人の生まれた運命によりさまざまであるに違いない。新潟県の二本木中郷村で生まれ、新井町へ、そして、東京都の杉並区へ、目黒区へ、練馬区へ、埼玉県の鶴瀬へ、東京都の世田谷区駒沢へ、等々力へ、野沢へ、そして、千葉県の千葉市へ、ただいま現在、茂原市へ越そうとしている。それぞれその時の、越す理由があって、動いて来たわけである。その間、仕事の撮影がらみで、海外へ90回ほどの出張滞在、トータルで2年分位はある。日本とは異なる世界の国々や都市を体験した。

 家族兄弟の学生時代、結婚後の仕事時代と、幼少、少年、青年、壮年、老年と年齢を経るごとに環境が変わって来たのは事実である。引っ越す事は、何か新しい期待感と、冒険感がいつもつきまとっていた。財産などと言うものでないが、自分にとって、必要なもの、大事なものは、引き継いで持ち歩いて来たものであるが、ここまで来て感じる事は、今までは大事なものと思って来たものが、ほんとうにそうなのか、いやそれよりも、それらのものを引きずって動く事に疑問が出て来たのである。モノに対するこだわりが、薄れて来たのである。自分にとって、ほんとうに最低必要なものがあれば、それで良いのじゃないかと思い始めたのだ。

 この日本の世の中は、長生き国であり、まだ生きる可能性が高いのであるが、そうは言っても、周りはガンとやらに持って行かれるヤツも多く、流行でいつ伝染するかもしれないし。そろそろ、物欲をそぎ落としたくなって来たのである。ところが、そうは言っても、いざ、捨てるとなると捨てきれないので、情けないが悩み始めてしまった自分が居るのである。膨大なる写真作品、ファイル、自分の撮った物が捨てきれない。ストーンズを始めロック関係のLP、EP、CD、DVD、Video、本、雑誌。美術関係の洋書類。仕事関係の作品、ファイル。家族写真を中心とした膨大な写真ファイル。つまり、写真とか、本類は数が増える事で、重みも増すのである。それと、ファッションというか衣装類である。もの好きのせいか、Tシャツに思いがあれば捨てきれない。これに、女房の分が付け加えられ、小物類がたくさんある。それに、育てた植物類も入ってくる。

 なに簡単だよといって、全てデータ化して、パソコンに叩き込めば良いのだが、そのデータ作りを考えたら、気が遠くなる。さてどうしたものか、えい、みんな持って引きずっていけという気にもなったりしてる。欲が無くなる事は、生きる事も減っていく事かもしれないし、いい年して悩んでいる。世の人たちは、どうやってしがらみを断ち切っているのだろうか。

「パッと咲き パッと散る 花ほど羨ましきものは無し」

【了】

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