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PJ: 池野 徹

世界一も日本一もある、奇岩の宝庫「鋸山の春」千葉県の景勝
2009年04月02日 06:35 JST


"Panorama of sea"(撮影:池野徹) 

東京から千葉へ来て5年になるが、東京ッ子だった都会の人にとっては、確かに千葉は田舎である。都内の会社へ勤める人にはベッドタウンであるし、首都圏の役目は果たしているが、全体的には少し地味な県である。この度、千葉県知事にタイミングよくタレント出身の森田健作が前回のリベンジを果たした。森田知事は、麻生首相に会い、石原都知事に会い、600万人千葉県民を代表して、これから中央への千葉県のポテンシャルの推進を述べた。確かに、成田国際空港があり、幕張になぜか東京ディズニーランドがあり、アクアラインがあり、農業、漁業の有数の地であるにもかかわらず、いまひとつパッとしなかったのは事実であると同感できるのである。

 しかし、都心に近くありながら、田舎というのは、自然があり、人々ものんびりして、人間的で、すれてない良さを持っている事である。三方を海に囲まれている、つまり、一つの島といえる。黒潮の影響による温暖さのある気候、吹き抜ける風、花の咲き乱れる半島、新鮮な魚類、野菜、穀物が豊富であるのは間違いない。千葉にあるスポットを紹介する事で注目を浴びたいと思うのは、森田健作ばかりではない。

 3月の晴れた春の日に、内房総の「鋸山」へ行った。小学生のころ、東京湾のフェリー船で遠足に来たのが思い出された。鋸山といっても千葉では2番目に高い山ながら、海抜329メートルしかない。しかし奇岩に覆われた石山である。岩肌が鋸(のこぎり)の歯の様に鋭い事から生まれた名前である。良質な房州石の産地として知られてる。浜金谷から、ロープウエイで数分で鋸山に着くが、東京湾の浦賀水道、三浦半島まで見渡せるパノラマが楽しめる。一面が快晴のブルー一色の中で、東京湾に白い筋を描く船までくっきり確認できた。

 そこから、石段の上り下りして、岸壁に刻まれた百尺観音を見ながら、最頂上の地獄のぞきへ出る。この景観はちょっとしびれた。アメリカのモニュメントバレーではないかと思われる奇岩があり、そのトップの展望台は足がすくむ。背景を下に見ながらは壮観である。千葉でこんな体験ができるとは思わなかった。一緒に行った連れの小学生の美女、美月ちゃんは大きな眼を見開いていた。おばあちゃんは、怖くてと言っていた。そこから、石段で下っていくと、岩の洞窟(どうくつ)に、名工、大野甚五郎と門弟による、世界一の数といわれる、東海千五百羅漢の石仏群が連なっている。何かインド風の石仏もあり、無音の中に、たたずむ姿は、人間世界の喜怒哀楽を背負った姿に見えてくる。さらに降りると、こつぜんと巨大な仏像が木立の合間から現れる。これが乾呻山日本寺の石大仏である。高さ31メートルで、鎌倉大仏や東大寺の大仏より高い日本一の大仏とは知らなかった。昭和44年に復元されている。原型は、天明3年(1783)に大野甚五郎が彫刻完成したものだった。

 さらに館山方向へ保田の海岸をドライブして、保田漁協直営のお食事処「ばんや」で、早朝、定置網で引き揚げられた新鮮な魚は格別であった。キンメの煮付け、ホウボウの刺し身、房州名物ふるさと料理さんが焼き、イカの揚げ天で満腹になる。干し魚が整然と並べられ天日に干されてる、それを狙ってトンビがくると、門番の犬が追い払うという、普段見られない光景は新鮮であった。房総半島は、まさに魚の宝庫である。千葉の島の雰囲気を満喫して帰途についた。桜のつぼみはまだ開いてはいなかったが、気持ちよい春の一日だった。

「ホウボウの 羽の刺身に 春が飛ぶ」

【了】

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