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PJ: 葦乃原 光晴

450円の楽しみ。東京の「銭湯お遍路巡礼」(下)
2010年01月21日 08:57 JST


東京の「銭湯お遍路巡礼」必需品である、「お遍路MAP」と、「お遍路巡礼スタンプノート」(撮影:葦乃原光晴、1月10日) 

【PJニュース 2010年1月21日】(上)からのつづき。東京都公衆浴場業生活衛生同業組合(以下浴場組合と表記)では、平成19年10月から浴場組合加盟の銭湯を巡ってスタンプを集める「銭湯お遍路巡礼」を勧めている。浴場組合に電話して、「銭湯お遍路巡礼」の人気とイベントの効果を尋ねてみた。

-「銭湯お遍路巡礼」が始まってから、達成者が大勢出ているそうですね。
「『お遍路巡礼スタンプノート』は88カ所で一杯になりますが、都内の全ての銭湯を回った強者も6人出ています」

浴場組合のホームページには、26浴場達成者から、880浴場達成者まで11段階の達成者リストが掲載され、功績をたたえている。平成22年1月16日現在、26浴場達成者は1897人、880浴場達成者は6人になっている。880浴場達成者は東京都内の全ての銭湯巡礼を終えた事になる。

-このイベントはいつまで続けるのですか?
「『銭湯お遍路巡礼』は、今のところずっと続ける予定です」

-「銭湯お遍路巡礼」が始まってから、新たなお客さんがどのくらい増えましたか?
「『銭湯お遍路巡礼』がスタートして以降、お客さんがどれだけ増えたかは把握していませんが、このイベントを知って初めて銭湯に行った人もいます。イベントを通じて銭湯の良さを改めて分かってくれた人もいます。主催者としては、これを機会に月に一度でも継続して銭湯に足を運んで頂ければありがたいと考えています」

総務省統計局が発表した、平成20年住宅・土地統計調査速報集計結果によると、浴室保有率(住宅全体に占める浴室のある住宅の割合)は95.5%となっている。
今はほとんどの家庭に風呂があるのだ。

記者が以前勤務していた会社に、家賃は安いが浴室の無い部屋に住んでいた男性がいた。彼は仕事で帰りが遅くなると「今日は風呂に入れない」と言っていた。そのとき記者は、自宅に浴室が無くて気の毒に感じた。しかし、久しぶりに銭湯に入ってみると、大きなお風呂は温まるし広くて気持ちがいいので、「彼はいつも、こんないい思いをしていたのか」と、感じ方が180度変わってしまった。

自宅に浴室が無くて銭湯に通う人はそれが当たり前なのだろうが、自宅に浴室があるのにお金を払って銭湯に行くのは贅沢な気がしてきた。確かに、銭湯には銭湯の良さがあるのだ。

浴場組合が偶数月に発行している情報誌「1010」(いちまるいちまる)によると、「銭湯が気持ちよいのは、水が流れるところや飛び散るところに大量発生するマイナスイオンのおかげ」だとか、「大きな浴槽で入浴すると、入浴前よりも心も体もいい状態になっていると、脳波のひとつであるアルファ波の出現度で分かる」だとか書いてある。これは、実際に実験した結果だそうで、誰もが銭湯のような大きなお風呂に入ると気持ち良く感じるらしい。

東京の銭湯の入浴料は、大人が450円だ。昔に比べてずいぶん高くなった気がするが、広いお風呂は温まるし気持ちがいい。こんな気持ちのいいお風呂の体験は、私の場合、温泉旅行にでも行かなければ味わえない。想像力を働かせれば、450円で温泉に行った気分になれる。「銭湯お遍路巡礼」を楽しんでいる人たちは、手軽な温泉旅行気分も味わっているのかもしれない。

銭湯巡りは簡単に始められる。東京には約880軒の銭湯があるので、そこかしこに個性派銭湯があるようだ。外観や内部の作りは一軒ごとにみんな違うし、温泉銭湯もあってお湯の質も違う。年間を通じて、ゆず湯、ラベンダー湯、菖蒲湯などのイベント湯もある。銭湯巡礼は一回450円で楽しめる、手軽で気持ちのいいイベントなのだ。【了】

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