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PJ: 葦乃原 光晴

450円の楽しみ。東京の「銭湯お遍路巡礼」(上)
2010年01月19日 07:26 JST


取材に協力してくれた、東京都江東区北砂3丁目の「竹の湯」さん。外壁のイラストと高い煙突が目印。地元の常連客に愛されて約80年になるという。 (撮影:葦乃原光晴、1月11日) 

【PJニュース 2010年1月19日】「銭湯」と、聞いて何を連想しますか? 高い煙突、大きなお風呂、壁に描かれた富士山の絵、男湯・女湯と書かれたのれん、番台に座っているおばさんなど、人それぞれ思い浮かぶものがあるでしょう。

東京のお風呂屋さんのほとんどが加入している組織、東京都公衆浴場業生活衛生同業組合(以下浴場組合と表記)では、平成19年10月から浴場組合加盟の銭湯を巡ってスタンプを集める「銭湯お遍路巡礼」を勧めている。

その仕組みは簡単だ。東京散策がてら銭湯に入る。銭湯には、お遍路さん用のスタンプと「お遍路巡礼スタンプノート」が備えられているので、お風呂に入ってスタンプをスタンプノートに押してもらう。スタンプが貯まったら浴場組合本部にスタンプノートを送る。巡った軒数(押されたスタンプの数)によって認定証が発行される。

スタンプ88個でノート一杯になり、「銭湯お遍路達成」の認定書と銭湯バッジがもらえる。(1000円分の郵便為替が必要) なお、東京の銭湯がどこにあるかが分かる「お遍路MAP」(定価300円)も準備されている。

おもしろそうなので調べてみることにした。取材に協力してくれたのは、江東区北砂3丁目の「竹の湯」さん。このお風呂屋さんは、外壁にイラストが描いてある。ご主人に尋ねると、落書き防止のために息子さんの友人が描いたそうだ。イラストを描いてからは落書きが無くなったという。

-お遍路さんで入浴に来られる人は多いのですか?
「毎日ではないですが、週に二人位は来てくれますね。遠くからもいらっしゃいますよ。比較的若い人が多いですね。」

-遠くから来られるのでしたら、早い時間に来られるのですか?
「お遍路さんは遅い時間には来ないですね。昼から夕方までですね。」

銭湯お遍路の魅力を知るためには、やはり体験しなければいけない。さっそく入ってみることにしたが、記者は銭湯に入るのが久しぶりだ。この前銭湯に入ったのがいつだったか思い出せない。15年くらい前に埼玉県の銭湯に1回行った気がするが、埼玉だったかどうかもはっきりしないくらい前だ。さらにその前なら子供の頃で、40年以上前にさかのぼる。

日曜日の午後6時半、入浴料(大人450円)を払い男湯ののれんをくぐって脱衣場に入った。脱衣場には鍵がかかるロッカーが壁際に並んでいる。他に、体重計、血圧計、扇風機、テレビ、マッサージチェア、ベンチ等が置いてあった。脱衣場の一角に洗面台がある。

服を脱いで浴室に入る。正面の壁には竹林が描かれている。横に小さな富士山の絵も見える。天井が高い。大きなお風呂は解放感がある。このときの男湯の入浴客は10人余りで、小学生が5-6人来ていた。

掛け湯をして浴槽に入る。「竹の湯」には、下から泡が出るミクロ風呂、電気振動で疲労回復が図れる電気風呂、体の8カ所を刺激して、美容、健康、疲労回復に良い座風呂がある。

銭湯は浴槽が大きいので手足を伸ばせてよく温まる。いい気持ちに温まり、湯船から出て体を洗う。背の低い腰かけと桶。そうだ、銭湯の腰かけと桶はこんなのだったと思い出す。天井の湯気が背中に落ちて「冷たい!」と感じる。この体験も久しぶりだ。

体を洗った後、もう一度ゆっくりと湯船につかる。なんだか幸せな気分で、歌でも歌いたくなってくる。お湯の温度は42〜43度。長湯してのぼせないうちに湯から上がった。

風呂から上がって瓶入りの牛乳を飲んだ。久しぶりにゆったりと銭湯につかり、幼い頃、父に連れられて銭湯に行った思い出が蘇ってきた。

「竹の湯」さんは地元の常連客に愛されて、この地で80年ほど銭湯を営んでいる。現在のご主人は3代目だそうだ。お客さんが込む時間帯は日によって違うが、概ね午後5時から午後6時頃と、午後9時以降の2回だそうだ。この日、私が浴室に入ってから出るまでの男湯の入浴客の総数は20人程度だった。【つづく】

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