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PJ: 葦乃原 光晴

大不況の不安。(上)=失業者の場合
2009年01月30日 08:15 JST

わたしは昨年12月に勤務先をリストラされて以降就職活動を続けているが、百年に一度と言われている大不況の中で、まだ再就職先を見つけられずにいる。再就職できない最大の理由は、わたしの52歳という年齢だと感じている。

 いつ再就職できるか不安になるが、先日、わたしをリストラした会社の経営者と面談する機会があり、経営者も不安な日々を送っていると分かった。立場が違えば不安の質も違う。しかし、他人の不安な状態を自分と比較することにより、自分を冷静に振り返ることができるように思えたので、ただいま現在わたしと同じように不安な日々を送っている人の参考になればと考え、わたしと、経営者のことを書いてみたい。

 わたしは、若いころから作家になる夢を抱いていたが実力が伴わず、夢に挑戦したい気持ちを抑えて銀行員生活を続けていた。しかし、独身のまま45歳を過ぎ、このまま一生を終えていいのかと苦悩し、あるきっかけで退職を決意した。

 その後、2年間に期限を切って、福岡と埼玉で一人暮らしをしながら小説やシナリオを書いて懸賞に応募していたが成果を出せなかった。自分で思うようなものが書けないあせりと、一人で話し相手がいない寂しさの中で、生活費の出費で預貯金が確実に減ってゆくのが怖くなり、相場に手を出した。そして、退職金と貯(たくわ)えの大半を無くしてしまった。わたしのばかさ加減と精神の弱さが露呈した形だ。

 相場で大損したときは体が八つ裂きにされるような苦しみがあって、それが何度か続いて精神が不安定になった。することなすことすべてが悪い結果に思えて奈落の底に吸い込まれそうな気分になった。八方ふさがりで誰かに助けを求めたくなり、一から出直すために故郷の和歌山県に戻った。親族や友人と接しているうちに自信を取り戻したが、地方の景気は極めて悪くワーキングプア状態だった。そこで、生活を改善すべく3年前に上京して就職した。だが、その就職先を昨年末にリストラになった。

 今の自分の置かれた状況は過去の自分の判断と行動の結果なので、現実を受け止めて「少しでも明日をよくしよう」という気持ちで就職活動をしている。今回も一人暮らしだが、できるだけ人と接触を持って悲観的にならないように、また、就職活動に専念して余計なことを考えないように努めている。落ち込んだり、社会から疎外されていると感じたときは、親族や友人に電話を掛けたりメールを打ったりしている。

 今回は、「相場でもうけよう」と考えるほど貯えが無い。貯えが無いのは不安だが全くゼロではないし雇用保険の受給期間もあと少しある。「これしかない」と考えたら不安になるが、「まだ残っているから、無くなるまでになんとかすればいい」と考えれば、不安は軽くなる。心配しても物事は解決しない。心配する暇があったら、現状を受け入れて行動に移した方がいい。わたしは、前回の失敗が免疫になっていると感じている。

 去年から30社の求人に応募した。23社から不採用の通知が来て、5社が未回答、1社が筆記試験待ち、1社は面接で体が続かないと判断し辞退した。仕事が無いわけではない。しかし、家賃を払って生活を続けられる仕事でなければ意味が無い。

 わたしは過去に短期間だが介護の仕事も経験している。だから、介護の仕事には就けるだろうが給料が安くて、休日にアルバイトをしないといけない。休み無しで働いて体調を崩しても、一人住まいでは誰も助けてくれない。ひとつの仕事で生活できる仕事を探しているが、事務職は求人一人に50人から60人が応募しており、52歳ではその職種でかなりの経験がなければ無理だ。では、営業職はどうか。事務職に比べて競争率はやや低いようだが、この不況下では体力勝負で営業をかける会社が多くて、やはり中高年は分が悪い。

 先日面接を受けた会社も、肉体的にきつい仕事を続けなければならないと分かり、入社して半年や一年で辞めることになるなら他の仕事を探そうと考えて辞退した。30代の働き方と50代の働き方は違う。採用になることを期待して面接を受けてうまくいかなければ落ち込む。そういうことが続けば嫌になる。自信を無くしそうになる。しかし、あきらめてはいけない。

 ハローワークの求人データは毎日更新されている。自分に合う仕事が昨日は見つからなくても今日なら見つかるかもしれない。話に乗ってくれる相手がいなければ、パソコン検索したデータを一件でもいいからプリントして、担当者に相談すればいい。相談するだけでも、少しはやる気が出てくる。

 百年に一度の不況なんて、今生きている人の大半が初体験だ。苦しいのは自分一人ではない。どれだけ就職が困難でも自分で自分のことを駄目だと思わなければ、きっと道は開けるはずだ。次回は、経営者の不安を書きたい。【つづく】

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